11月8日に行われた選挙で共和党のドナルド・トランプ候補がアメリカ合衆国大統領になることが決まり、昨日の市場は騒然となった。9日の終わりの段階の、日本に直接影響しそうな数字は以下だ。
・日経平均価格は919円安の16251円。10日は311円高の16562円でスタート
全体的に値を下げた一方でトランプ氏が日米同盟については「関係を見直す」と明言していることから、防衛関連企業の株価が値上がりした。
・ドルは1ドルあたり0.5円程度安の103円台
トランプ大統領はアメリカにとってマイナスと市場は判断した。
・金価格が上昇。1オンス1300円を突破。30円近い値上がり
ドルが価値を下げる、また市場が不安定なときに価格が上がる実物資産の金は、大きくアップした。
世界中で「最悪の大統領」「経済危機が起こるかもしれない」といった報道が数多くなされている。アメリカ国内でも、カナダへの移住方法についてのサイトがパンクするなどの動きが見られた。
強いアメリカの復活?
トランプ大統領誕生で、これから何が起こるだろうか。具体的な政策は大統領就任後に行われていくだろうが、トランプ氏のメイン政策は一貫している。「強いアメリカのために必要なことを行っていく」だ。
イスラム教徒入国禁止という発言も、彼の発想では「自爆テロ等を起こすイスラム教徒は危険なので、アメリカ国内からテロの脅威を取り除く」ことになる。
アメリカをよくするために、アメリカにとってマイナスな存在を排除する。その部分に関しては一切のブレがない。
アメリカは「世界の警察」のようなポジションにあり、戦争を起こしたくて仕方ないようなイメージがあるが、もともとは第一次世界大戦のときのような、他国への介入をしない孤立主義的なポジションにあった。
世界の警察を演じていたのは、石油のためでもあった。治安維持と引き換えに国内で使用する石油の安定ルートを確保する、それが目的だ。
しかし今や、アメリカは世界で1位に匹敵する産油国であり、シェールガスの開発も進んでいる。「国内で使用するエネルギーは充分にある。むしろ余っているので輸出していきたい」レベルだ。
エネルギーが確保されているとなれば、アメリカにしてみれば戦争を起こす必要は何もない。それよりも国内の景気をよくし、アメリカ国民の生活向上にパワーとマネーを注力する。
その政策が功を奏し、景気が回復するならば、アメリカへの投資にもチャンスが見えてくる。
投資家は投資機会を逃さないようにしたい。
参考資料
・『「教養」として身につけておきたい 戦争と経済の本質』加谷珪一著、総合法令出版
・石油を暴落させたあの国の次の手が日本にも大きく影響?