「女性の高収入な仕事」といえば、多くの人が思いつくのが「医師」だろう。
高収入な半面、とにかく激務でもある。
病院勤務であれば、夜勤、休日勤務などはしょっちゅうで、緊急で呼び出されることもある。
失敗すれば人の命にかかわる仕事のため、非常に神経を使う職業だ。
今回ゆかしメディア編集部は、参加女性は全員医師の婚活パーティーに潜入し、出会いを求める女医たちに話を聞いてきた。
ある日曜日の夜、東京、六本木のダイニングバー、ハバナカフェにて、女医の婚活パーティーは開かれた。
女性の参加者は全員女医で、都内勤務のほか、地方から来ている人もいる。
男性は医師のほかに弁護士、会社経営者、公認会計士、外資系保険会社のセールスマンなど、ハイクラスな人たち。
人数は男女合わせて50人ほどだ。
会がスタートした。男性、女性どちらからも話しかけ、シャンパンやワインを片手に会話を楽しむ。
会話の内容はそれぞれだ。男性のほうから、女医に病院の仕事や日常の業務などに関する質問をしたり、仕事に関係なくウィットに富んだ話をして場を盛り上げる人がいたりと、よくある交流会の風景だ。
男女ともにハイクラスな人たちゆえ、雰囲気は非常に和やかだ。
自分の仕事を隠す女医たち
参加している女医に話を聞いた。
「出会いは本当にない。会うのはせいぜい同僚や同じ病院の人に、患者さんくらいのもの。休みはほとんどないうえ、たまの休みも疲れきっていて外出せずに1日が終わることもしょっちゅう」(精神科医)
「趣味を楽しんでいる時間もなかなか取れない。日ごろの休みがあまり取れないものの、まとまった休みが取れることはあるため旅行に行ったりするのがリフレッシュのとき。ただ旅先にいきなり出会いはないから」(歯科医)
「以前はこういった出会いのイベントに参加することに抵抗があったけれど、最近はもうそんなことを言っていられない。老後とかどうするのか、悩みは切実」(歯科医)
女医であることは、婚活にどんなメリット、デメリットがあるのだろうか。
「超マイナス。女医とわかると、相手が急によそよそしくなることはしょっちゅう。だから女医と言わなければわからない場では、『医療関係者』と言ったり、『OLです』と言うこともある」(内科医)
一体いつまで女医であることを隠し続けるのかとも思ったが、話の流れで「病院旅行(一般企業の社員旅行のこと)」という言葉を使ってしまい、バレることもあるとか。
ノリのよい女医は、合コンで自己紹介のときに「私、女医でーす!」とネタのつもりで先に言ってしまうという。「OLでーす!」ではネタにならないことを考えると、職業名だけで相手の対応が変わる彼女らの苦労が察せられる。
女医たちの間では「今から看護師になるか!」といった、あきらめにも近い話をよくしているという。
同じ医療関係者でも、看護師、薬剤師はモテる。また、眼科、皮膚科、形成外科などは女医のなかでも「女子力が高い」部類に属し、そのあとに歯科医などが続く。
もっともモテないのは精神科医や外科医で、外科女医が鮮やかに手術をこなす様などは、医療関係者の間でも「かっこいい」と羨望のまなざしで見られるという。そして、悲しいほどモテとは無縁だという。
次元の違うダメ男にはまる
「学生時代の相手をつなぎとめておかない限り、もう新たな出会いはないのかもしれない」
そう語ったのは、もっともモテないの部類に入る精神科の女医だ。
学生時代、医学部の同期や先輩、後輩には病院の跡取り息子がたくさんおり、彼らとのデートはお迎えがベンツだともはや普通、名前を聞いたことのないよほど珍しい外車だと驚く、という世界だったという。
良い学生時代を過ごした彼女だが、「どんな高級車の助手席に乗るよりも、その後付き合った大工の男性が運転するトラックのガタガタのほうが心地よかった」と言う。
「女医は自分たちの収入がしっかりある分、男性にスペックを求めていない。同じくらいの収入のある男性にはウケが悪いし、収入が下の人からはもっと悪い。もはやまったく違う世界の人くらいのほうが、すんなり受け入れてもらえる。でも、さすがに行く先を間違えた」
そう語る彼女は、その大工のほか、ヴィジュアル系のバンドマンにはまる。“だめんず”まっしぐらだ。
彼女は夢を追う男に貢ぐようになる。
「そんな彼でも、やっぱり男の見栄はあったみたい。私と食事に行くと、なけなしの5000円でおごろうとしたりして」
彼女に幸せあれ。
婚活パーティーは和やかに進み、当初予定時刻をオーバーして盛り上がっていた。せっかくなので男性にも話を聞いてみると、実は「婚活が目的」という人ばかりではなかった。
参加者の中には、「大きな声じゃ言えないけれど」と言いながら、別の下心を打ち明ける人もいた。
「こういう場に来られるような女医さんは、病院でもしっかりした地位にいたり、実家が開業医だったりするでしょ? ビジネス的につながっておくことのメリットはとても大きい」
超ハイスペックでありながら、むしろ超ハイスペックだからこそ、婚活市場で苦戦を強いられる女医たち。
「なぜこの人が婚活パーティーに参加しているのだろうか?」と思わせるレベルの人もたくさんいた。
もしもの話だが、彼女たちが女医でなかったならば、人生において交際や結婚の相手に困ることなどなかったのかもしれない。そう考えると、複雑な思いに駆られた。
彼女らに幸あれ。