アメリカ時期大統領に就任するトランプ氏が、顧問にヘッジファンドのスカイブリッジ・キャピタルの創業者、アンソニー・スカラムッチ氏(53)を起用する見通しであると発表された。
ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、12日にも正式発表の可能性がある。
スカラムッチ氏はトランプ次期大統領の長女、イバンカ氏の夫で上級顧問としてホワイトハウス入りするジャレッド・クッシュナー氏と親密な友人だという。昨年11月の時点で、トランプ政権移行の執行委員会にメンバー入りしていた。
スカラムッチ氏はスカイブリッジ・キャピタルの創業者にして共同経営パートナーだ。著書が3冊あり、2016年のウォール・ストリート・ジャーナルのビジネスカテゴリーでベストセラー入りしているものもある。
タフツ大学で経済を学び、ハーバード・ロースクールで法律を学んだ後の1989年より、スカラムッチ氏はゴールドマン・サックスの投資銀行部門に勤務。
プライベート・ウェルス・マネジメント部門で副社長を務めたのち、同僚と投資パートナーシップ会社のオスカー・キャピタル・マネジメントを共同で創業し、70年以上の歴史を持つ老舗運用会社ニューバーガー・バーマンに売却した。
その後の2005年、スカイブリッジを設立。
2011年には世界第3位の会計、税務などのプロフェッショナルファーム、アーネスト・ヤングの「アントレプレナー(起業家)オブザイヤーニューヨーク」金融サービス部門で受賞したほか、2016年にはアメリカの富裕層向けメディア、ワースマガジンの選ぶ「Power100」グローバルファイナンス部門で100人の影響力ある人物のうち85位にランク入りした。
外交評議会やアメリカオリンピック&パラリンピック財団管理委員会のメンバーを務めるほか、2015年にかつての人気テレビ番組『ウォール・ストリート・ウィーク』のリバイバルに資金提供し、番組出演者の1人となっている。このほかにもフォックス・ニュース・チャンネルもスポンサードしている。
スカラムッチ氏の設立したスカイブリッジ・キャピタルはアメリカの大手ヘッジファンドで、2016年11月30日現在、運用資産総額は120億ドル。個別のポートフォリオに基づいたヘッジファンドへの投資アドバイス、ロング(買い持ち)専門の投資信託を専門としているほか、運用ではレラティブ・バリュー、イベントドリブン、ディレクショナルなどの戦略を用いる。
主要ファンド「スカイブリッジ・マルチアドバイザー」は、バークレイのヘッジファンドのデータベースで1位、「もっとも運用成績の良いヘッジファンド」にランクインしている。
昨年の運用成績はマイナス1.86%に沈んだが、トータルリターンは127.6%、年平均リターンは6.08%を記録している。
スカイブリッジが年に1回開催している「スカイブリッジオルタナティブ(SALT)コンファレンス」はヘッジファンド業界で最も高い評価を得ている会合であり、スカラムッチ氏はヘッジファンド業界で最も発言の影響力の大きい人物の1人だ。