大幅な節税を可能にする相続での法人化

監修:田中誠(相続専門税理士・税理士法人エクラコンサルティング代表)

目次

相続に関してはどんな利点がある?

賢く節税する法人化7つのメリット

 相続に関しても、法人化は節税のうえで効果があります。

 不動産所有法人を設立するのは、駅周辺だけでなく、郊外にも複数の土地や不動産を持つ地主にとってメリットが大きくなります。

 不動産所有法人の主なメリットは以下です。

①個人の税金よりも法人にかかる税金のほうが安い
 個人が支払う所得税は、所得が高くなるほど税率も上がります。それは法人の所得も同じではありますが、個人の所得としてはかなり高い税率になる所得税も、法人の所得として法人税の対象とすると税率は低くなります。
 法人には維持費もかかるので、不動産でどのくらいの収益が上がっているかで選ぶかを決めればよいでしょう。

②個人よりも法人のほうが経費として計上できる対象の幅が広い
 個人の経費には、「家事消費」として経費に認められないものも多いのですが、「法人活動は基本的に営利のために行われる」とされるため、法人として行ったものは、経費と認められる範囲が広くなります。

 生命保険料も経費にできるので、相続における生命保険金を役員の退職金の原資として活用できるほか、死亡退職金として遺族が受け取れるなど、様々な活用方法があります。

③法人から支払われる報酬によって、相続人に資産を分散できる
 個人で不動産業を行うと、その収入はすべて個人のものになりますので、収入増は相続財産が増加するとも言えます。それを防ぐうえで法人化には大きなメリットがあります。

 不動産収益を法人の収入とし、子どもなど相続人を役員にして役員報酬を支払っていけば、相続財産を効率的に分配することも可能です。

④資産を株式に変換することで、効率的に相続人に資産を移転できる
 不動産は換金や受け渡しに時間がかかるのがネックですが、株式化しておけば、それも行いやすくなります。
 ほかにも、相続までに時間の余裕があれば、うまく株価を圧縮して贈与するなど、効率よく財産を渡すことも可能になるのです。

⑤個人に譲渡益が出ないように、法人に不動産を売却することができる
 個人で所有している不動産を法人に売却する場合、個人に譲渡益が出ると、譲渡所得税が課税されます。しかし、建物を法人に売るときに売却価格を帳簿価額(残存簿価)にすれば、この譲渡所得税を0にすることが可能です。

 帳簿価額とは、建物を購入したときの価格から減価償却相当額を控除して、その残った部分(未償却残高)の価格を言います。建物の法定耐用年数は木造か鉄骨かなどによっても変わりますが、20年から47年です。

 ですので、建ててから時間が経った建物であればあるほど、法人が購入する価格は低くなります。

⑥個人から土地を格安で借りることができる
 建物を帳簿価額で法人に売却すると、土地は個人所有、建物は法人所有となります。すると、その土地は貸地となり、法人には借地権が発生します。

 借地人である法人は、地主である個人に対して地代を支払う必要が生じ、その分だけ個人の所得が増えるので対策をとる必要があります。

 権利金は借地権割合で決定します。借地権割合は9~3割、住宅地では平均的に6~7割です。
 1億円の土地があったとして、借地権割合を6割とすると、借地権は6000万円です。
通常、それくらいの額を借地人は権利金として地主に支払う必要がありますが、「土地の無償返還に関する届出書」を税務署に提出し固定資産税額の2.5~3倍の額の地代を個人に支払えば、権利金を支払わなくても認定課税を受けることはありません。

 土地の評価は、一律20%の借地権相当とされ、地主が土地の80%の権利を所有し、法人が20%の権利を評価されることになります。

⑦相続後、土地を3年以内に売却して相続税の納税資金を確保することが可能
 相続税額の取得費加算の特例を活用する方法で、個人が法人に土地を売却することで納税資金を確保し、かつ譲渡所得税を軽減できます。
 この特例は、相続人が土地を売却した場合、相続税の一部を譲渡所得の計算上、取得費に加算できるというものです(相続税の申告書の提出期限後(相続発生後10カ月以内)から3年以内の売却でなければ、節税効果は低くなります)。

 法人に土地を買い取る資金がなくても、金融機関から借り入れをする必要はありません。法人が個人からの借り入れで買い取り、家賃収入から返済していけばよいのです。
 法人化することで、売却をスムーズに行えて、譲渡所得税も不要のため、納税資金を確保しやすくなります。

 法人化にはメリットも多いですが、法人を維持するのには費用がかかります。法人化する目安は、不動産賃貸業の収入が年間5000万円以上、資産規模3~5億円です。

 資産1~2億円程度で、賃貸業の収入が1000万円以下の場合、法人化の維持コストが大きな割合を占める可能性もあります。
 ただしこの金額はあくまでも目安ですので、税理士に相談してください。

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