監修:田中誠(相続専門税理士・税理士法人エクラコンサルティング代表)
はじめに
「相続税法が改正され、相続税が多く課されることになった」
この記事を読んでいるあなたは、そのような話を耳にし、「うちも相続税を支払わなきゃかも!?」と思ったり、対策を始めているかもしれません。
あるいは「とはいえ、何から手をつけたらいいのか……」と、途方に暮れているところかもしれません。
まず知るべきは、相続や相続税に関する正しい知識です。それがわかっていれば、対策を打つことができます。
相続税は複雑で、それぞれのご家庭の資産状況により計算方法も異なります。
専門家でなければわからない部分が多いですが、まずは一般的な形を把握できれば、そのあとに「うちの場合はどうなのか?」を考えていくことができます。
個別のケースは税理士に相談する形になりますが、何もわからずただ相談に行くのと、ある程度わかっていて話をするのでは、その後に見込める効果が大きく変わってくるのです。
相続税の仕組みからその計算方法、相続発生前にできる対策や、相続発生から相続税納付までのスケジュールなどを説明していきたいと思います。
相続は始まってしまったあとでは、できることが極端に少なくなってしまい、打てる節税策も限りがあります。
私は相続専門の税理士として、相続発生前にきちんと対策を打っていく方法を指南させていただき、相続税を大幅に節税できた、先祖代々の土地や長年暮らした家を手放さずに済んだ、といった声を多くいただいています。
「資産は3代でなくなる」と言われるくらい、日本の相続税は高く、資産家の悩みの種ですが、相続や相続税についてきちんと知り、対策を打つことで、税額を少なくし、資産を守ることができます。
富裕層のみなさんの、資産を守っていただくお手伝いができればと思っています。
相続専門税理士が教える 納税額が10分の1になる相続ノウハウ 目次
●はじめに
●相続税は、どう増税されたか?
○その相続対策で大丈夫? 予期せぬ相続税が発生するかも!
・基礎控除額の減少は実質増税
・相続税率が改正でアップ!
・対策の失敗が巻き起こした悲劇
●相続専門税理士が教える 納税額が10分の1になる相続ノウハウ
○「相続税対策」ではなく「次世代に渡していく」で考える
・贈与税の軽減措置を活用しうまく準備する
・贈与で相続税3740万円を904万円に節税
・相続時精算課税制度は自社株の承継に有効
●養子縁組で節税にも増税にも!?
○法定相続人が増えるのは節税上プラスとされるが……
・養子縁組で相続税減、事業承継も円滑に
・養子縁組で相続税が2倍以上に!?
●相続税を減らすために必要なポイントはたった1つ
○相続対策の大前提は「財産の正確な把握」
・80%評価減の「小規模宅地等の特例」がまず適用できるか検討しよう
・特例が適用できそうにないケースでも手がある
・地価の高いエリアに引っ越したほうが節税になることも
・タワーマンションは法律に注意しながら活用しよう
●大幅な節税を可能にする相続での法人化
○相続に関してはどんな利点がある?
・賢く節税する法人化7つのメリット
●相続税額を1/10にする賢い税理士の選び方
○選定のポイントは?
・「相続のその先」を意識して税理士を選ぼう
・「相続のこと、すべてやります」に注意
●「争族」を起こさないための相続スケジュール
○相続税の納税までのスケジュール
・相続開始から3カ月が1つの判断時期
・承認か、放棄か、限定か?
・10カ月で申告期限がくる
・「物納」もうまく活用できる
●故人の思いを受け継ぎ、争いをなくす遺言書の書き方入門
○遺言書が効果を発揮する場面、しない場面
・遺言書の3つのパターンとメリット、デメリット
・エンディングノートに法的効力はゼロ
●円満な相続税対策にもっとも必要なこととは?
○相続人の足並みはそろっているか?
・相続発生前の話し合いが、かなりのトラブルを防ぐことに
また、より詳しい情報を拙著『お金持ちのための最強の相続』(実務教育出版)に掲載していますので、この記事と合わせてお役立ていただければと思っています。
微力ながら、相続専門税理士の立場と経験から、そのお手伝いをさせていただいています。