ゆかしメディアでもよく取り上げているふるさと納税。実質負担2000円で様々な返礼品がもらえることから、その人気も高まっている。
そのふるさと納税に、新たな形ができた。福島県南相馬市に寄附することで、ジェラートピケ、モエ・エ・シャンドン、ドンペリニヨンなど有名ブランドの商品がもらえる。
寄附金額も1万円から、20万円以上まで幅広い。金額によりもらえる商品も変わってくる。
ふるさと納税で継続的な復興支援
東日本大震災での津波、原発事故で甚大な被害を受けた南相馬市。市内には現在も居住が制限されているエリアが多くあり、震災からもうじき6年が経過するが、その爪痕は依然大きく、現在も復興の途上にある。
復興には、莫大な費用がかかる。震災の直後は南相馬市にも全国から多くの義援金が寄せられたが、震災の記憶はだいぶ風化し、現在、義援金はもうほとんど集まらなくなっている。「お金さえあればできるのに……」という策も多いが、資金難が復興のブレーキになっている。
長い期間お金が集まり続けるためには、どうしたらいいか?
このシステムを運営するノーマスタイルの代表、梶田直孝氏に話を聞いた。
「私がこのふるさと納税の形をつくったのは、かつて南相馬市周辺を治めた大名、相馬氏の子孫であり、鎌倉時代から続く34代目の当主、相馬行胤(そうま・みちたね)さんとお会いしたことがきっかけです。相馬さんから南相馬市の現状を直接お聞きし、離れているとなかなかわからないけれど、復興支援はまだまだ必要だ、私も何かしたい、と思いました。
ふるさと納税は、寄附したお金がすぐ自治体に渡り、使い勝手がいいものです。しかし残念ながら南相馬市は地震の影響で、寄附する人が欲しいと思うような魅力的な返礼品がなかなか用意できません。そこで考え出したのが、私がもともと関わっていたファッション業界からの協力でした。
欲しかったあの商品が手に入り、寄附にもなる。そんな風になったらいいなと。復興支援の寄附に賛同してくださるアパレル企業から格安で商品を提供していただき、寄附してくださる方に差し上げる形を整えたのです。
商品をご提供くださった会社の中には『単なる宣伝や、支援のために金や商品を出してくれというのだったら賛同しなかった。多くの人が、1回限りではなく継続的に寄附をするための取り組みだったので協力したいと思った』と言ってくださるところもありました。
その思いは、寄附してくださる方にも伝わっているようです。寄附者のうち、4割近い方が応援の言葉や、復興支援に寄附できることへ感謝のメッセージを寄せてくださっています。
『遠くから見ているだけで、何もできませんが、こんなカタチでも協力できることがありがたいです。いつか訪れたいと思います』
『今回、はじめてふるさと納税に参加させていただきます。
ふるさと納税は“なんとなく”聞いたことがある程度だったのでこれまでなかなか行動に移せませんでしたが、身近なファッションを通じて貢献できるのであればと思い、参加させていただきました。
まずは自分の周辺の仲間へ伝えて、広げていければと思います。
少しでも南相馬市の方の元気や勇気に繋がればと思っています。応援しています!』
このような声をたくさん寄せていただいています。大変嬉しいことです。
難しく考えず『欲しいものがもらえるから寄附する』くらいでいい。それも何年も寄附し続けてもらうためには、もらえるものがどんどん新しくなればいい。アパレルは新作が次々に出ますから、ファッションに興味のある人に、繰り返し寄附をし続けてもらえる。そう思いました」
歴史のある町、南相馬市
「寄附をした方の多くが、『いつか南相馬市を訪れたい』と言ってくださいました。商品がもらえることをきっかけに、南相馬市に興味を持つ。実際に訪れる人が増えれば、観光などの地元産業にもよい効果が現れるでしょう。
私は南相馬市の出身でもなく、これまで特に縁はありませんでしたが、今回の件をきっかけに南相馬市を訪れてみて、この場所の魅力を強く感じました。
緑豊かで、また歴史のあるところです。
『ノーマスタイル』の名前の由来にもなっている、有名な『相馬野馬追(そうまのまおい)』は相馬家の軍事演習がきっかけとされる、1000年を超える歴史のある祭りです。野馬追が行われるときは、街の至る所を甲冑を身につけた武者を載せた馬が闊歩し、広場では実際の合戦のごとく騎馬武者が駆け回る。その光景は実に壮観です。
野馬追のために馬を飼っている家も多く、たくさんの南相馬市民が伝統の行事を大切にし、また誇りに思っています。
かつての藩主、相馬家は1000年続くという、日本でもほとんどいない、非常に長い歴史を持つ家です。代々この地を治めてきた相馬家は今も住民に非常に慕われていて、今の当主を『殿様』と呼んでいる方もたくさんいます。
この美しく歴史のある町が、早く以前のように復興してほしい、そう思います。
そして多くの人に嬉しい寄附でそのお力添えをいただきたい、そう考えています」
ファッションからできる“新しい支援のカタチ”をぜひご利用ください。
「noma-style (ノーマスタイル)」とは
福島県南相馬市に対するふるさと納税の寄附金が年々減少傾向にある現状を踏まえ、同市が設立をした新制度 (「ふるさと納税として市内外から寄せられた寄附金を非営利民間団体(NPO)に活動資金として助成する制度」)を活用し、同市における持続的な復興支援体制を築くべく設立された特定非営利活動法人相馬救援隊(理事長:相馬行胤)によって開設されました。
*詳しい活動内容はノーマスタイルのホームページをご覧ください。