こんにちは。成功データアナリストの高田晋一です。
私は昨年、ビル・ゲイツ、ウォーレン・バフェットなど、世界的な大富豪たちがどのようにして大金持ちになっていったかを彼らの自伝や伝記から分析して、その分析結果を拙著、『大富豪の伝記で見つけた 1億稼ぐ50の教え』という本にまとめさせていただきました。
分析してみてわかったのは、大富豪といってもいろいろなタイプがいるということです。彼らの価値観や生き方を見ると、大きく分けて6つのタイプに分類することができました。この6つのタイプをご紹介しながら、それぞれのタイプ別に、どのようにして彼らが大富豪の仲間入りを果たしていったのかを見ていきたいと思います。
タイプ1 名君タイプ
1つ目のタイプは「名君タイプ」です。一言で言えば、「利他的で高潔な精神を持つ」人たちです。
具体的には、ジョン・D・ロックフェラー(スタンダード・オイル創業者)、ヘンリー・フォード(フォード・モーター創業者、「自動車王」)、サム・ウォルトン(ウォルマート創業者)、イングヴァル・カンプラード(IKEA創業者)、松下幸之助(パナソニック創業者)、稲盛和夫(京セラ・KDDI創業者)などの各氏が該当するでしょう。
彼らに共通するのは、その功績や実績はものすごいながらも、決して偉ぶらず、いつも謙虚な姿勢を崩さない性格から、多くの部下たちや他の経営者などから非常に慕われていたことです。
そして彼らの基本戦略は、「良い商品をたくさん世に出すこと」です。そのために松下幸之助氏は「水道哲学」を掲げ、ヘンリー・フォード氏はライン生産方式による大量生産を推し進め、イングヴァル・カンプラード氏は徹底した低コスト戦略をとり、稲盛和夫氏は「アメーバ経営」を考案しました。
それぞれ、個別のやり方は異なりますが、それぞれの戦略・目的は良い商品を多く世の中に出し、それによって社会に貢献することにあったと考えられます。
タイプ2 喧嘩屋タイプ
2つ目のタイプは「喧嘩屋タイプ」です。「名君タイプ」と真逆の価値観を有する人たちで「人と競争をして打ち負かすのが大好き」な人たちです。
このタイプで最も典型的な人物は、ドナルド・トランプ米大統領(「不動産王」、トランプ・オーガナイゼイション会長)でしょう。
またトランプ氏以外にも、ルパート・マードック(ニューズ・コーポレーション会長、「メディア王」)、フィル・ナイト(NIKE創業者)、糸山英太郎(新日本観光会長)などの各氏もこのグループに含まれます。
彼らは非常に好戦的です。他者と競争し、取引し、買収し、攻撃して、相手に勝利することを至上命題におきます。経営者や起業家は多かれ少なかれ、競争好きな人が多いですが、その中でも特に彼らはそうした傾向が激しいです。
米大統領選中のトランプ氏によるヒラリー氏陣営への苛烈な攻撃に見てとれるように、彼らは敵となる相手に対して容赦しません。これは、マードック氏のロバート・マクスウェル氏(もう1人の「メディア王」)との買収合戦、ナイト氏のポール・ファイアマン氏(当時のリーボックのCEO)への敵意、糸山英太郎氏の近藤信男氏(当時の近藤紡社長)との仕手戦などにもその様子が表れています。
彼らは喧嘩慣れしているため、多くの場合相手を翻弄して打ち負かすことが多いですが、それ故に恨みを買うことも多く、敵を作りやすいのがこのタイプの特徴の1つです。
■タイプ3 政治家タイプ
3つ目のタイプは「政治家タイプ」です。一言で言えば、「権謀術数を駆使して出世し、権力を掌握する」人たちです。
具体的には、ジャック・ウェルチ(GE元会長)、ベルナール・アルノー(LVNH会長)、アンドリュー・カーネギー(カーネギー鉄鋼創業者)、堤義明(西武鉄道グループ元オーナー)などの各氏が該当するでしょう。
彼らは周りの人たちがどんなことを考え、何を狙っているのかを把握するのが上手く、対立関係や友好関係を利用して、巧みに出世していきます。また時代の潮流を掴むのも巧いため、大きなブームを見越してうまくその流れに乗っていきます。
例えばウェルチ氏はGEの会長就任時、本命と言われた2人の候補とその支持者の間隙をうまくつき、会長の座に就任しています。またアルノー氏も、LVMHの買収時、経営陣の不仲を利用して一気に買収、同グループを手中に収めています。カーネギー氏や堤義明氏も、巧みに時代の潮流を読み、カーネギー氏の場合は鉄鋼業、堤氏の場合はリゾート開発に目をつけ、一気に企業規模を拡大させていきました。
彼らは0から1を生み出すよりも、1を10に、そして100や1000にしていくことを得意としています。そのため、起業家タイプというよりも既にある事業を大きくしていったり、買収によって企業規模を拡大していくタイプが多いことも特徴と言えるでしょう。