モーター大手の日本電産創業者、永守重信会長(72)が100数十億円の私財を大学に寄附し、後進育成のための支援を行うと発表した。
朝日新聞が報じたもので、永守氏は「税金はどう使われるかわからないが、寄付は使い方がはっきりするから」と語ったとされる。

永守氏は「大学を作るのが夢だった。他国と比べて日本の大学は即戦力を出せていない。企業や社会が求める人材を育てる。金も口も出すよ」と語った。
京都大学、同志社大学など、多くの大学のある学問の街京都。その古都に本社を置く日本電産。ゆかりの深い街で、永守氏は次の世代の育成に力を注ぐ。
大学への寄付はこれだけではない。京都大学に次世代モーターを研究する寄付講座の開講を発表し、今後5年間で2億1000万円を寄附するとした。
永守氏は2014年に70億円を京都府立医科大の陽子線施設に寄付すると表明している。
永守氏にも訪れたグローバル化の波
M&Aを繰り返し、大きく成長を続けてきた日本電産。「毎朝4時に起きて元旦の午前中を除き365日働く」と言われたモーレツ社長の永守氏も、近年では働き方を変化させている。
グローバルに展開する日本電産の社員は現在約10万人いるが、そのうち日本人の社員は1万人程度しかいないからだ。
会社は定時で上がる、毎年2カ月のバカンスをとるといったアメリカ人やヨーロッパ人の社員も増え、かつてのような長時間の働き方は彼らのそれとは異なるものであり、永守氏は「いつまでも自分がいるとみんな帰れないから」と、率先して退社している。
使い切れないくらい稼いだお金をば寄付するのは、ヘッジファンドマネジャーも同じだ。
2016年の報酬1位のヘッジファンドマネジャー、ジェームス・シモンズ氏はシモンズ財団を設立し、アメリカの数学の発展や自閉症研究などに10億ドルを寄付している。
年間の報酬額が40億ドルに達したこともあるデビッド・テッパー氏はカーネギーメロン大学のビジネススクールに多額の寄付を行い、同スクールには自身の名前が冠され「テッパースクールオブビジネス」となっている。
レオン・クーパーマン氏は2500万ドルの基金を設立し、エセックス州の高校生の進学のための学費援助を目的としている。
ほかにも聖バーナバス病院の理事やクローン病および大腸炎財団の管財人を務めるほか、彼の出身校ハンターカレッジへの寄付などもしている。
クーパーマン氏はそれ以外にもデーモン・ラニヤン―ウォルター・ウィンチェル基金のがん研究財団理事会のメンバー、現代美術館の投資委員会のメンバーを務めている。
特に趣味もない彼にとって寄付は唯一の趣味のようなもので、「働くことによって、国民や子供たちのために寄付するお金を生み出すことができます」と語っている。