本物? 偽物? ゴッホの未公開スケッチ65枚が画集で出版

 世界的に有名な画家、ゴッホ。生前は作品が評価されず、絵が1枚しか売れなかったといわれているが、実際には何枚も売れた絵があったほか、晩年は個展でも高い評価を受けていた。


『麦わら帽子の自画像』

 実際に絵を描いていたのは10年ほどであったことに加え、自殺により37年で生涯を終えることがなければ、存命中から高い評価を受け、多くの絵が高値で売買されていたことは間違いない。

『海上の船、 サント=マリー=ド=ラ=メール』

 このたび、ゴッホが南フランスのアルルに滞在していた間、スケッチブックとして使っていたという会計帳簿が、かつてのゴッホの家の跡地にあったカフェの食器棚から発見された。126年もの間眠っていたその帳簿には65枚のスケッチが描かれ、ゴッホの代表作『跳ね橋』『自画像』『アルルの女』『糸杉』などのものもある。

『ジョゼフ・ジヌーII』

 当初、オランダ、アムステルダムにあるゴッホ美術館はこのスケッチを贋作であるとコメントした。
 だが、この会計帳簿を発見した所有者は40年以上ゴッホを研究してきた専門家に別途鑑定を依頼。専門家は3年の歳月をかけて調査し、そのスケッチを「すべて本物である」と結論づけた。ゴッホ美術館の下した贋作という鑑定結果についても、詳細な反論をしている。

『向日葵畑』

 トップレベルの専門家が、一方は「本物だ」と言い、もう一方は「偽物」と言っている作品たち。今後も結論が出ることは決してないと考えられるが、このスケッチが、この度画集として出版されることとなった。その理由として出版社は、以下のように述べている。

1)発見されたスケッチ65枚はその真贋を巡って世界的な専門家が意見を表明するほど高いレベルにある
2)この真贋論争がすでに世界的な話題となっている以上、 日本の読者も自分の目でその作品を確かめる機会を供したいと考えた
3)未公開スケッチの真贋にかかわらず、 本書が書物として非常に魅力的である

 本物と思うか、偽物だとするかは、スケッチを実際に見た人の目に委ねられている。


【書籍情報】
『フィンセント・ファン・ゴッホ ────失われたアルルのスケッチブック』
ボコミラ・ウェルシュ=オフチャロフ著 ロナルド・ピックヴァンス序文
野中邦子/高橋早苗訳
河出書房新社
2017年4月20日発売予定
ISBN: 978-4-309-27799-8/本体価格:10000円(税別)
B4変型・上製/280頁/オールカラー

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