ヘッジファンド界の一大イベントであるソーン・インベストメント・カンファレンスが月曜日からニューヨークで開催され、著名ヘッジファンドマネジャーが語るテクノロジー、エネルギー、メディアなどに関する市場の動向について注目が集まる。
同カンファレンスを主催するソーン・カンファレンス財団は小児がん治療をサポートする組織で、多くのヘッジファンドマネジャーたちが寄付をしており、主催するイベントにも協力的だ。
著名ヘッジファンドマネジャーの集うイベントだけに、過去には大きな出来事も起こっている。2008年には出席者のデビッド・アインホーン氏がリーマン・ブラザーズについて批判的なコメントをした直後にリーマン・ショックが起こった。
2012年にはビル・アックマン氏がサプリメント、ヘルスケア製品などを販売するハーバライフ社を「ピラミッドスキーム(商品はあるがその商品に価格に相当する価値はなく、主宰企業が儲かる仕組み。アメリカでは違法)だ」と批判。その後同社と数年にわたる係争を繰り広げることになるきっかけとなった。
昨年の同イベントにて、著名ヘッジファンドマネジャーが語っていたことと、実際はどうだったかを振り返ってみよう。
・ジェフリー・ガンドラック氏(ダブルライン・キャピタル)
予想:大統領選はトランプ氏が勝利。そして彼は赤字を増やす。
結果:予想は的中。赤字になるかどうかはこれから明らかになっていく。
・スタンリー・ドラッケンミラー氏(デュケーヌ・ファミリー・オフィス)
予想:株はベア相場、金がブル相場。株については「これ以上ないところまで上がった」とし、金が最大の投資先。
結果:S&P500種株価指数は2016年5月から19%と、予想以上に上昇。金は4%の値下がり。同氏は保有していた金を大統領選の夜にすべて売却したが、「大きく下落したから」と昨年12月下旬と今年の1月に買い直したという。
・デビッド・アインホーン氏(グリーンライト・キャピタル)
予想:アメリカのキャタピラー株が商品相場と共に下落すると予想しショートを推奨。自動車販売は増加すると見込みGMをロングと読んだ。
結果:昨年の会議後にキャタピラーは39%、GMは13%の上昇。GMは3月末時点には約25%上昇。
・ジェームズ・チェイノス氏(キニコス・アソシエーツ)
予想:アフリカ最大手の携帯電話会社、MTNのショートを推奨。同社はアフリカ最大手とはいえナイジェリア、南アフリカの割合が大きすぎてバランスが悪い、それはリスクになり得る。
結果:MTNの1年間のADR(米国預託証券)のリターンは1%未満。同社は2月には低調な運用成績による損失を発表している。顧客510万人の電話使用時の不通が改善されなかったとしてナイジェリア政府に10億ドルの罰金を支払うことに同意している。
ナイジェリアの割合が大きすぎることの不安が的中。