3000万円の純金将棋の駒を、誰が買うのか?

「離婚したとき質屋に持っていって一番お金になったのは、とにかく金。
 私の名前入りのプレゼントや、複雑なカットがされたダイヤなんて、何の価値にもならなかったわ」

 以前、離婚経験者複数人に同時に取材したところ、全員がうなずき、非常に盛り上がった話題だ。

 その輝きから多くの人を虜にしてきた金。希少性も古来より富の象徴であり、貨幣としても使用されてきた。
 貨幣経済の時代になっても、北朝鮮情勢などを受けて、金の価値は高まっている。
 仮に国家が破綻し、その国の通貨がすべて無価値になったとしても、実物資産である金の価値は損なわれない。そのため古来より資産家は、金に重きを置いてきた。
 経済評論家の豊島逸夫氏は語る。「トランプ大統領の経済政策が成功すれば、景況感が良くなり、自動車販売台数も増え、プラチナの価格は上がる。
 逆に経済政策が失敗すれば、市場は混乱して、安全性を求めるマネーが金に流れる」

 金の強みはその希少性もさることながら、非常に安定性が高いこともある。銀などは年数を重ねると変色してしまう。その様子を「いぶし銀」として楽しむ人も多いが、金属としての価値は下がる。
 純金であれば変色もせず、金属の価値は下がらない。

 金の価値の高さは、安定性に加えて、再加工の容易さだ。ネックレスでも指輪でも、溶かすことでいくらでも違うものに作り替えることができる。
 どんなに熟練の職人が行った複雑な細工が施されていたとしても、その価値が認められなければ0円に等しい。
 ダイヤモンドもカットされるほど小さくなるだけで、どんどん価値を落としてしまう。

 その点、金は溶かせばいくらでも作り直せるため、価値は金属そのもので判断される。海外、特にヨーロッパで金細工の技術が発達した背景には、 価値のある金を近くに置いておくうえで、せっかくならば見た目をよくしたい目的もあっただろう。


 なお、安定性が高く再加工が容易な金属の両雄が金とプラチナだ。自動車の排ガスをクリーンにするための触媒としてプラチナが使用されることから、金は約70%が宝飾用、30%が工業用で使われるのに対し、プラチナの用途の約70%は工業用だ。
 先述の豊島氏の話に出てきた、自動車が伸びるとプラチナの価格が上がるのはそのような理由からだ。

 日本橋三越本店で開催される「大黄金展」は、金製品を展示・販売する場だ。趣向を凝らした金製品が製作され、今回は3000万円の純金の将棋駒がつくられた。
 金は再加工が容易なので、売れなかったとしても溶かして別のものにするだけだ。そのため目を引くものがつくられる。そして売れるものもある。


 金が使われるものとして多いのが仏壇や仏具で、数百万円するものもたくさんある。日常の礼拝に使う仏壇や仏具は相続税の対象とならないため、そこに目をつけて節税対策として購入されることもある。
 なお、「仏壇や仏具も礼拝の度を越した、明らかな節税目的と判断されるものは課税対象と判断する」と国税庁も言っているため、注意が必要だ。

参考資料

豊島逸夫による金市場の解説「2017年05月01日 金投資、広がる選択肢」

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