ヘッジファンド報酬ランキング シモンズ16億ドルで連覇

 ヘッジファンド業界の2016年分の報酬ランキングが、米専門誌インスティチューショナルインベスターズから16日発表され、1位はルネサンステクノロジーズのジェームズ・シモンズ氏となった。シモンズ氏は2015年の報酬も17億ドルで、2連覇となる。
 フォーブスの発表した資産額は180億ドルで、長者番付の49位に入る。
 シモンズ氏は高齢を理由に引退しているが、ルネッサンス・インスティトゥーショナル・イクイティーズファンド(2005年設立)は英国のEU離脱に伴う動きをつかみリターンを出すなど好調に推移、前年とほぼ同額の報酬を得ている。

 2016年はヘッジファンドが苦戦の年とされ、上位10人の報酬総額は76.65億ドルとなり2014年の116億ドル、2015年の100億ドルよりも減少した。
ランキングは以下だ。

1 ジェームズ・シモンズ     16億ドル ルネッサンス・テクノロジーズ
2 レイ・ダリオ         14億ドル ブリッジウォーター・アソシエイツ
3 ジョン・オーバーデック    7.5億ドル ツーシグマ・インベストメント
3 デビッド・シーゲル      7.5億ドル ツーシグマ・インベストメント
5 デビッド・テッパー      7億ドル  アパルーサ・マネージメント
6 ケネス・グリフィン      6億ドル  シタデル
7 ポール・シンガー       5.9億ドル エリオット・マネジメント
8 マイケル・ヒンツェ      4.5億ドル CQS
9 デビッド・ショー       4.15億ドル D.E.ショーグループ
10 イスラエル・イングランダー 4.1億ドル ミレニアム・マネジメント

 昨年シモンズ氏と同額で1位のグリフィン氏は6億ドルと10億ドル以上報酬を下げ、6位に後退。顧客に保証する利益をもたらしていなかったとして、アメリカの規制当局から2260万ドルの罰金を科されるなど、厳しい年となった。
 
 その他に前年のランキングからの違いを見てみよう。「アメリカで最も成功したヘッジファンドの1つ」とされるエリオット・マネジメント(運用資産328億ドル、約3兆8000億円)を率いるポール・シンガー氏が、報酬5.9億ドルで7位入り。
 2016年、シンガー氏の率いるエリオット・アソシエーツは、アルゼンチン政府との15年にわたる争いに終止符を打った。
 アルゼンチンのデフォルト(債務不履行)により発生した債券の未払いに対し、債権者であるエリオットが支払いを求め裁判を起こしていたのが、ようやく合意に達したもので、エリオットは24億ドルの利益を得たとされる。

 8位、マイケル・ヒンツェ氏は63歳、ロンドンに拠点を置くCQSの創業者だ。ヒンツェ氏の旗艦ファンドはかつて、ブルームバーグが発表した営業成績好調なヘッジファンドトップ100の3位にランキング入りしたこともある。2015年は損失を出していたが、昨年は好調な運用成績を記録した。

 ヒンツェ氏は中国でロシア人の両親のもとに生まれ、オーストラリアで育ち3年間の兵役に服してもいた。
 その後ロンドンに移り金融の世界に入り、CQSを創業した。

 自身が芸術や科学に関する教育を受けたこともあり、この分野に対する支援を手厚く行っている。2013年には英国でのそれらの活動が評価され、ナイトの称号を与えられている。
 フォーブスの発表した総資産額は21億ドル、ロンドンに拠点を置きながらも自身はオーストラリア人であるとして母国とのつながりを保ち、同国の農業資産の投資資産を保持している。「2016年版オーストラリア人長者番付」では13位に入った。

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