孫正義語る「私がしているのは現代の薩長同盟」

 ソフトバンクの孫正義氏が、尊敬する坂本龍馬への愛を語った。

 孫氏は若い頃、師である野田一夫氏に言われたという。「孫君、君はちゃんと“志”で働いているか? 金儲けしようなんて考えるな。自分の力で世の中をよくしよう、という“志”を持て!」と。
 野田氏は「現代経営学、マネジメントの父」と呼ばれるピーター.F.ドラッカーを紹介したことでも知られている人物だ。


 野田氏が孫氏の師であるならば、坂本龍馬は心の師とでも言える人物だ。
 孫氏が15歳のとき、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』を読んで起業を決めたというエピソードは有名だ。
 坂本龍馬の直筆の書状を所有し、毎日眺めているという、かなりの龍馬マニアで、この度ホテル雅叙園にて開催される「土佐からきたぜよ! 坂本龍馬展」をソフトバンクグループは主催している。

「坂本龍馬の偉業は薩長同盟だけ。仮に龍馬が成し遂げていなくても、開国へという時代の流れには逆らえなかったから、別の人物が中心となって同盟は結ばれていただろう」
 そのような評価もある。

 坂本龍馬が評価されるポイントは、経済、ビジネスの観点で同盟を成立させたことだと言うのは、歴史学者よりもむしろ、経済関係の人物に多い。
 龍馬は決して「志」だけで動いていたわけではなかった。当時飢饉で食糧不足に陥っていた薩摩藩には「長州の米を買わないか」と持ちかけ、徳川幕府による征伐が迫り、戦闘態勢を整える必要に迫られていた長州藩には「薩摩藩がイギリスから購入している最新の武器が欲しくないか」と話をした。

 薩摩と長州には大きなわだかまりが存在するなか「新しい時代のために、手を結んで幕府に対抗する一大勢力になってほしい」と考え行動した。
 ただし人は志だけでは動かない。志を実現するために必要なのは「実利」であることも、龍馬はよくわかっていた。

 孫氏も、その点を高く評価。経済、実利に絡めて事を成し遂げていったこと、その成し遂げる力の偉大さに、憧れるという。
「成し遂げるには周りの人を巻き込んでいかなければならない。単なる思いだけでない、経済の話もできる必要がある」
 孫氏は語る。

 そして、孫氏が現在進めている中東、アメリカとのファンド設立に関して「現代の薩長同盟の気持ちで臨んでいる」ことを明かした。
「龍馬に比べれば、自分はまだ何も成し遂げていない。龍馬に並ぶことなど生涯無理」
 孫氏は、龍馬のこととなると力を込めて熱く語っていた。

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