バロンズの発表した「ヘッジファンドトップ100」
昨今の市場の乱高下に伴い、著名ヘッジファンドでもこれまでと同様の運用成績を出せていないところも多い。
トップ100にランク入りしたヘッジファンドで、著名なところで名前が出ているのはツーシグマ(11位)、DEショー(18、32)、シタデル(30、37)、ブリッジウォーター(50)、マングループ(73)などなどだ。
このようななかで、上位に複数ランクインしている著名ヘッジファンドがある。ルネッサンス・テクノロジー(6位、24位)だ。
「最も賢い億万長者」と呼ばれたジェームズ・シモンズ氏が創業したルネッサンス・テクノロジーズ。コンピューターを活用した運用の先駆けで、シモンズ氏の報酬額はものすごく、アメリカの専門誌、インスティチューショナルインベスターズが発表したところによると16億ドルで、2年連続世界ナンバーワンのヘッジファンドマネジャーだ。
引退した後も、ルネッサンスの運用成績は変わらず好調で、シモンズ氏の報酬は依然として高い。
現在ルネッサンスのCEOを務めるのはロバート・マーサー氏という人物で、「トランプ政権の黒幕」とされている大富豪だ。共和党の強い支持者で、かつてはトランプ氏と候補者の座を争ったテッド・クルーズ氏を支援し、共和党の候補がトランプ氏になったのちは彼を支持している。
トランプ大統領に対し巨額の資金を提供し、個人では最も影響力の大きい支援者とされている。
その額は実に1350万ドル(約15億円)。
今年70歳のマーサー氏はニューメキシコで生まれ育ち、ニューメキシコの大学に進学した。コンピューターには高校を卒業するまで触ったこともなかったという。
しかしその後コンピューターに魅了され、イリノイ大学ではコンピューターサイエンスに関して博士号を取得するなどし、卒業後はIBMに入社した。
1993年、ルネッサンスに入社。2010年にルネッサンスの共同CEOに就任する。マーサー氏のIBM時代の上司は彼のことを「自動人形」のようだと言っている。
「誰とも話をしないで暮らすのが幸せ」マーサー氏は2010年、ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューに答えている。
インタビューなどのメディア露出はほとんど行わない。
マーサー氏のトランプ政権に対する最も大きな影響は、寄付額の多さだけではない。トランプ政権の大統領顧問を務めるケリーアン・コンウェイ氏らと財団は強いつながりがあるとされる。
ほかにも、トランプ氏の選挙キャンペーンを主導したスティーブ・バノン氏にも1000万ドル(約11億円)を寄付。
トランプ政権の主要人物には、マーサー氏の息のかかった人物が多い。
巨大ヘッジファンド、ルネッサンスは創業者のシモンズ氏が退任したあとも、その運用成績だけでなく、CEOの動向にも注目が集まる。
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