日産自動車のカルロス・ゴーン会長の役員報酬額が10億9800万円だったことが、27日に行われた同社の株主総会にて明らかになった。
報酬額の根拠について、同社は「グローバル企業の基準に合わせた」としている。前期比2700万円アップで、開示以来過去最高額となり、3年連続で10億円超となった。
日産の2017年3月期連結決算は、最終(当期)利益が前期比26.7%増の6634億円となり、過去最高を更新。系列の自動車部品大手カルソニックカンセイ株の売却益などが利益を押し上げた。
日産は燃費不正問題をきっかけに業績が低迷した三菱自動車を事実上傘下に収めるなど、精力的なアクションを見せている。
日産による買収時、三菱自動車の益子修会長兼社長は業績不振の責任を取り辞任しないのかという報道陣の質問に対し、ゴーン氏自身が慰留したことを明かした。益子氏は日産の傘下に入った後も社長職に留まる。
ゴーン氏は「来年にはこの人事が正しかったと発表したいと考えている」と語った。
日産は、欠陥エアバッグ問題で経営が悪化したタカタが東京地裁に民事再生法の適用を申請して経営破綻したことを受け、「立て替えたリコール関連費用の大部分が取り立て不能となることが見込まれる」との見解を発表した。
昨年にブルームバーグが発表した「日本の役員報酬ランキング」では、ゴーン氏は3位に入っていた。1位はソフトバンクのニケシュ・アローラ前副社長の80億4200万円で、ゴーン氏の上には20億円台の役員が2人いた。
役員報酬の額が高いか安いか、それを決める明確な基準はないが、経営危機にあった日産自動車を短期間で立て直し、その後も過去最高益を記録させた手法に対する評価は高い。