ここ最近、ヘッジファンドの運用成績が好調であることを、ブルームバーグほか複数の報道機関が報じている。
世界のヘッジファンド全体の運用収益を示す総合指数は2017年8月まで10カ月連続でプラスとなり、06年8月から07年7月にかけて記録した12カ月連続以来の長さとなった。
ヘッジファンド・リサーチ(HFR)によると、8月にもっとも好調だったのが株式ヘッジファンドで、資産加重ベースの平均成績はプラス1.6%。1~8月の平均成績はプラス8.6%となっている。
大型ヘッジファンドにも好調なものが目立つ。その1つ、34億ドル(約3800億円)を運用するクオンティテーティブ・インベストメント・マネジメント(QIM)は今年1~8月のリターンが概算でプラス56%、同社の戦術的ヘッジファンド、「タクティカル・アグレッシブ・ファンド」(体系的ロングショート株式ファンド)は、7月は7.4%のマイナスだったが8月は14%のプラスを記録した。
「8月は北朝鮮を巡る緊張状態の高まり、テキサス南部を襲った大型ハリケーン『ハービー』などが株価に影響し、株式とトレンド追随型投資がヘッジファンドの好調な運用成績をけん引した」と、HFRのプレジデント、ケネス・ハインツ氏が発表資料でコメントした。
巨大ヘッジファンド、ルネッサンス・テクノロジーズ(運用資産約500億ドル、約5.6兆円)も今年は2桁台のプラスリターンを上げている。ルネッサンス・インスティチューショナル・エクイティーズ・ファンドは8月がプラス1.7%、年初来11%。ブルームバーグによると、コーチュー・マネジメント(運用資産80億ドル、約9000億円)も1~8月の成績がプラス27%と好調。
バイキング・グローバル・インベスターズ(運用資産約300億ドル、約3.4兆円)の旗艦ファンドも年初来8カ月で10%上昇と、関係者は述べている。
運用成績の回復で、ヘッジファンドの資金流出にもストップの傾向にあり、むしろ流入が増えている。英国の調査会社プレキンによると、昨年は年金基金などから解約が相次いだ結果、16年10~12月期まで5四半期連続で流出超を記録し、1187億ドル(約13兆円)が流出していたが、17年4~6月期は50億ドル(約5600億円)の流入超、同1~3月期(197億ドル、約2兆2000億円の流入超)に続いて2四半期連続の資金流入超となっている。