2018年に入り、複数の仮想通貨価格が急落したことで「バブルがはじけた」「暴落の始まり」といった声も多々起こり、市場は混乱している。
中国や韓国、中東の国々などが仮想通貨を規制する方向に動くなどし、今後価格がどうなっていくかは、誰にもわからないところだ。
一方、ビットコインなど仮想通貨の取引記録で活用されている先端技術のブロックチェーンには、非常に大きな可能性を感じている人や会社が多く、この分野が今後伸びていくのは間違いなさそうだ。
ブロックチェーンとは、複数の参加者で取引データを互いに共有し、正しい記録を鎖(チェーン)のようにつないで蓄積する仕組みのことだ。
SBIホールディングス社長の北尾吉孝氏は日経新聞の取材に対し、「仮想通貨ビジネスでは実需を呼び込んでいく」ことを強調した。
仮想通貨は送金コストが低く、決済などの処理速度も速いことからユーザビリティが高く、現在の膨大な維持費用が発生している銀行の送金システムは仮想通貨にとって代わられると予想している。
北尾氏は現在の値上がりは投機的な部分が大きいとしつつ、今年はブロックチェーンを活用するための制度づくりが進み、その分野に期待しての買いが入り、価格を決めていくと考えている。実際の決済手段として使われるようになっていくためには、価格変動が小さくなる必要がある。
日本マイクロソフトは電通国際情報サービスと組み、ブロックチェーンを使った金融取引システムの販売を始める。ブロックチェーン開発の米スタートアップ企業「R3」が開発した、ブロックチェーンを使った金融機関向け基盤システムを金融機関に提供する。
ブロックチェーンが既存の金融取引に普及するとどうなるか? 国際送金などの金融取引コストを大幅に圧縮できるようになる。北尾氏には「とって代わられる」と言われた銀行の送金システムも改善され、個人にも手数料の削減など恩恵が広がる可能性がある。
R3には米ウェルズ・ファーゴなど海外金融機関のほかに、日本の3大メガバンクなど約40社が計100億円以上出資する。それだけ多くの会社が関わり、資金も集まって開発される同社の技術が、今後のブロックチェーンを用いた金融機関向け基盤システムのデファクトスタンダード(事実上の標準)となる可能性もある。
JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOはかつてビットコインを「詐欺」と断じた(その後撤回)。
仮想通貨を「よくわからないもの」であるというスタンスは変えていないが、「ブロックチェーンは偽物ではない。この技術はデジタルの円やドルを誕生させることが可能だ」として、ブロックチェーンという技術に関しては期待をしている。