盛り上がりを見せているビットコインを中心とした仮想通貨市場。
日本や中国は言うに及ばずだが、意外な盛り上がりを見せているのが、ドイツだ。
ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、ドイツ、特に首都のベルリンは仮想通貨とその基盤となるブロックチェーン開発の一大中心地に発展しているという。
これはドイツの金融に対する受け止め方を知っている人からすれば、驚きの事実だろう。
ドイツ人は「現金志向」が根強く、キャッシュレス化には抵抗のある人が多い。複雑な金融商品も嫌う。
Forexbonusesの発表した「世界で最もキャッシュレスな国」によると、ドイツが8位、日本が9位となっており、アメリカ、英国、フランス、中国、オーストラリアなどに比べると下位に位置する。
その両国がビットコインには乗り気なのは興味深い事実だ。
日本とドイツはよく似ていると言われるように、ビットコインに関しても同じような受け止め方をしていると考えられる、かというとそうではない。
この分野に関してはむしろ対照的だ。
簡単に言うと、日本人はビットコインに「投機」として投資し、ドイツ人は「金(ゴールド)」として投資している。
堅実な日本人はギャンブルを嫌うといわれているがそうでもないのは、パチンコ、競馬、競輪、宝くじなどギャンブル施設やギャンブルに接する機会の多さ、それらの産業の大きさが証明している。
仮想通貨に投資している人たちが増えた結果減ったもの、それはFXだ。グローバルな投資の世界においては「カジノ」、投資ではなく完全にギャンブルと考えられているFXは、世界で日本だけが非常に人気だった。
ドイツ人のビットコインへの受け止め方はまったく異なる。そもそもドイツ人に現金志向が根強いのは、第二次世界大戦前にハイパーインフレがドイツを襲ったことなどから、インフレを警戒するゆえだ。
ビットコインは新規発行が難しく、流通の総数も決まっており、様々な国が規制をかけてはいるが本質的には政府の介入を受ける存在でもないため、インフレに強いとされる。インフレを警戒するドイツ人が興味を持つのはこの部分だ。
ドイツ人のビットコインに対する考え方は、日本人のそれとまったく異なり「金(ゴールド)」に近いと言える。政府の統制を受けず、それそのものの価値が存在する資産だ。堅実な資産として仮想通貨を見ている。
近い国といわれる日本とドイツだが、仮想通貨に関する考え方は正反対だ。