仮想通貨の取引所「コインチェック」から巨額の仮想通貨「NEM」が流出した事件で、北朝鮮が関与している可能性が浮上した。
韓国の国家情報院が、国会情報委員会で、北朝鮮による仮想通貨のハッキングの実態を明らかにしたもので、確定事項ではないものの、北朝鮮によるサイバー攻撃である可能性について菅義偉官房長官も6日の閣議後の記者会見で、「最大限の関心をもって情報収集・分析を進めている」と説明、「国際社会と連携しながら緊張感を持って対応したい」と述べた。
経済制裁の続く北朝鮮は、外貨獲得の手段として仮想通貨に強い関心を持っているとされる。ブルームバーグが報じたところによると、北朝鮮のハッカーは韓国の仮想通貨取引所や関連サイトへのサイバー攻撃を増やし、韓国内の取引所には盗難被害も出ているという。
北朝鮮の外貨獲得手段はこれまで多々あった。北朝鮮には「銅像づくりのプロ」が多々いる。北朝鮮の最高指導者の銅像をつくる、世界でもトップレベルの技術を持つ職人たちだ。
それらの労働者が、アフリカや中東の王族が自分の像をつくるために出稼ぎ労働者として派遣され、貴重な外貨獲得につながっていた。
ほかにも、中国を中心に「北朝鮮レストラン」が世界中に展開され、美貌の北朝鮮人店員が歌って踊るサービスを提供、動画がSNSで拡散するなど人気を集めていた。
強まる北朝鮮への制裁とともに、それらの外貨獲得手段の多くは封じられた。河野太郎外務大臣はカタール政府に北朝鮮の労働者にビザ発給を止めるよう依頼し、政府もそれに応じたとされる。
北朝鮮レストランの多くは閉店した。
昨今の北朝鮮による仮想通貨攻撃は、それらの多くの手段が封じられての結果と言える。
北朝鮮というと、そうこの手の技術は高そうな印象はないが、「失敗したら死刑」の国である。関わる人間は文字通り命がけだ。必死になって、技術力を超えた力を出してくる。決して侮ってはならない存在だ。
引き続き捜査の結果を待ちたいとともに、仮想通貨の取引所には、万全のセキュリティを臨みたい。