ICO(イニシャル・コイン・オファリング)がますます盛んになっている。
SBIホールディングスが2018年度中に、ICOで500億円規模の調達を行うと発表した。実現すれば国内最大級の規模となる。
ウォール・ストリート・ジャーナルが報じているのは、仮想通貨の調査会社トークン・リポートが、今年に入りICOによる資金調達がすでに総額約16億6000万ドルに上っていると発表したことだ。2018年はこの2カ月で約480件のICOが実施され、新たな資金の受け入れを停止したのはそのうち126件となっている。
受け入れ停止の理由までは不明であり、あくまでも推測だが、昨今のICOの好調ぶりから「充分な資金が調達できたため」というポジティブな理由も多いと考えられる。
トークン・リポートのガレン・ムーア氏は直近のリポートで、「ICOが早期に減速することはない」との見方を示している。
ICOは減速どころかますます加速している。
大規模なICOを行うブロック・ドット・ワンは2017年夏の開始後、これまでに15億ドル余りの資金が集まったと、これもウォール・ストリート・ジャーナルが報じている。
同社のブレンダン・ブルーマーCEOが同紙のインタビューに答えたもので、2018年6月まで調達を続ける予定という。
当たり前のように億という単位が飛び交っているが、この15億ドルという金額は、ツイッターが2007年から11年までに行った9回の資金調達で得た総額に匹敵する。
世界的企業でも4年がかり、9回で成し遂げたものだ。
新規株式公開(IPO)でも調達が困難な額で、調査会社ディールロジックの調査によると、2017~18年に実施されたIPOで15億ドル以上を調達したケースは4件あるのみだ。
ICOを用いた「法定仮想通貨」発行の動きも起きている。
ベネズエラでは国家プロジェクトとしてICO「ペトロ」が開始し、プレセールの段階で初日に7.35億ドルを集めた。ペトロはベネズエラの天然資源である原油を担保に発行される仮想通貨で、法定仮想通貨と呼べるものだ。
過去4年間にわたり、法定通貨ボリバルの不安定さにより経済危機を迎えたベネズエラは、仮想通貨に可能性を見出し、「未来のためにこのプロジェクトに着手することに決めた」と、ペトロ開発の理由を語る。
ベネズエラのニコラス・マドゥーロ大統領は、ペトロを「大きな問題に対する素晴らしい解決策」と評している。
ペトロは総計で1億トークンが発行される見込みで、今回のプレセールでは3840万ペトロ発行を予定しているという。
なお、安全性を確保するために、交換の回数を制限する方向に動くという報道もあり、ベネズエラ政府は「法定仮想通貨」として適切なものにするための環境整備を行っていく考えのようだ。
歴史が浅い分、評価の定まらないところも多いICO、仮想通貨。
1つ事実として言えるのは、「今まではそう簡単には動かせなかったレベルの巨額のマネーが、今までにない速さで動くようになった」ということだ。