仮想通貨の新団体設立 自主規制強化へ

 ビットコインの下落、コインチェックによるNEMの流出などで、2018年に入り混乱を極めた仮想通貨。
 流出事件から1月以上が経過し、同社は流出された分を返金すると発表しているが、それがいつになるのかはいまだ不明だ。


 現在の仮想通貨に求められるのは業界全体のセキュリティなどの対策で、ビットフライヤーなど仮想通貨交換業者16社は3月1日、東京都内で会合を開き、月内にも仮想通貨の新団体を設立することを決めたと、日経新聞が報じた。

 新団体は、改正資金決済法に基づき政府から自主規制団体の認定取得を目指すという。システムの安全対策、顧客と自社の資産分別管理の具体策など、自主規制ルールを策定する方針だ。

 業界の信用回復に欠かせないのが「自主規制」の部分だ。仮想通貨を支える技術のセキュリティは高くても、業者の管理が甘くては安全性を保てない。
 仮想通貨を「扱う資格」についても厳格になる。コインチェックは2017年4月に改正資金決済法が施行される前から仮想通貨交換業を営業しており、同法施行後に金融庁に仮想通貨交換業の申請をするも、同社の扱う仮想通貨のなかには安全面の不安があるものも存在したことから、登録は見送られていた。
 だが、同法施行前から営業していた業者については、今後認められる予定の「みなし業者」とされ、営業は行うことができていた。

 ここでも求められるのは、自主的なセキュリティアップだ。新団体はまずは金融庁に登録を済ませた交換業者16社で組織。その後登録申請中の業者も順次加盟を受け付ける。会長に奥山泰全マネーパートナーズ社長、副会長に加納裕三ビットフライヤー社長らが就く方向で調整しているという。 

 仮想通貨の今後について整っていく一方で、投資家のもっぱらの関心は3月15日までの確定申告だろう。
 仮想通貨の売却で得た所得は雑所得となり、非常に高い課税がなされる。仮想通貨で「億り人」が多々誕生したが、1億稼いでも半分以上が税金だ。
「コインチェックに預けたお金が動かせず納税資金が用意できないので、株を売却する。できればもう少し持ちたかった……」という投資家がいる。
億り人もトーンダウン気味だ。

 さらに、政府は、仮想通貨交換事業者から返金を受けた場合は課税所得になりうる、との答弁書を閣議決定した。損害賠償金であっても本来所得とすべきものや、失った利益への賠償なら非課税所得にはならない、との見解を示した。
つまりコインチェックが流出したNEMに相当する日本円を返金した場合、その円は課税所得認定、仮想通貨なので該当は雑所得だ。

 仮想通貨に関する本格的な課税は、2018年が元年となる。最初が肝心な分、国税庁も厳しいスタンスで臨むだろう。

 まだまだ整備が追いついていない仮想通貨。時には市場に投資家の悲鳴がこだましたりしながら、業界は整っていく。

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