昨年までの上り調子一辺倒だった相場から一転、多くの投資家やファンドマネジャーにとって難しい相場が続いている。
相場に左右されない絶対的収益を目指し運用を行っている、著名ヘッジファンド各社の7月の実績はどうだっただろうか。
Bloombergのまとめたデータによると、7月の成績の良かったヘッジファンドとその年初来実績は以下の通りとなっている。
【2018年に好調なヘッジファンド】
米国籍では超著名ファンドであるルネッサンス・テクノロジーがおとなしかった6月までの成績から一転、その実績を大きく伸ばした。
アジア籍のファンドの中でとりわけ目を引くのはJUDAH VALUE ACTIVISTの実績である。7月単月で16.2%という実績もさることながら、年初来の総リターンはついに100%を突破し、半年強で2倍まで資産を殖やしたこととなる。
しかしながら、米国や欧州のファンドと比較すると、JUDAH VALUE ACTIVIST以外のファンドは年初来実績で少々遅れを取っている感もあり、2018年は苦戦しているファンドも多かったようだ。
欧州籍のファンドのうち、7月に堅調に推移していたファンドの多くは2018年を通じて見ても堅調に推移している。ここ数年、大きく苦戦していたODEY EUROPEAN INC.も、年初来で25.8%のプラスを記録しており、その輝きを取り戻しつつある。
7月に調子の良かったヘッジファンドはインドに集中投資する変わり種のものを除いて年初来でもプラスリターンで推移していることが見て取れる。
反対に、7月に成績が悪かったファンドの成績はどうなっているだろうか。
同じくBloombergのまとめたデータによると、下記の通りの数値となっている。
【2018年に不調なヘッジファンド】
米国籍のCAS’S SOSIN PARNERSなども7月単月では「不調」と見做されているが、年初来では+40%以上と非常に高リターンである。
年初来のマイナスの大きさで比較してみるとQIM’S QUANTITATIVE TACTICAL AGGRESSIVEやCCP QUANTATITIVE ARISTACHURSなどが10%超のマイナスとなっており、苦戦が目立つようだ。
いずれのファンドも「QUANTITATIVE(定量的な)」運用を行っているため、いわゆる「クオンツ運用」自体が受難の年かと思われがちだが、必ずしもそうではない。
QIM’S QUANTITATIVE TACTICAL AGGRESSIVEにも「AGGRESSIVE」と冠されているように、クオンツ運用のファンドの中には「ボラティリティ(ぶれ幅)」を大きくとったファンドも多い。当然のことながら、そういったファンドは短期での運用成績が安定しづらい傾向にある。
これらのハイリスク・ハイリターンタイプのファンドの場合には数カ月単位ではなく、3年以上といった中長期スパンで成績を評価することが大切になるだろう。
2018年中盤までの著名ヘッジファンドの成績をお伝えしたが、いかがだっただろうか。
単純に成績面で見ても、株式等との相関性で見ても、優秀なヘッジファンドを保有することは個人投資家にとっても選択肢に入る時代になったのかもしれない。
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