多くの運用関係者が悲鳴をあげた「赤い10月」も乗り切り、年初から快走を続ける株式ロングショート戦略のヘッジファンドがある。
世界最大のオフショアといわれるアメリカのデラウェア州に登記されたヘッジファンドであり、ファンド名はJW Partners LP(ジェイダブルパートナーズ)と言う。戦略はヘッジファンドの中では主流とされる株式ロングショート戦略を採用している。
同ファンドの設立以来の成績は以下の通り。運用開始時に1,000万円投資していたら20年弱で10億円に成長している計算となる。日本ではまずお目にかかれない実績と言って良いだろう。
同ファンドは1999年の設立以来、非凡な成績を残してきており、その特徴は何と言っても「集中投資」である。一般的なアクティブ投資信託が150~200社の株式に分散投資しているのに対して、JW Partners LPはわずか十数社に絞って投資を行っている。
特にヘルスケア、テクノロジー、消費財系の市場に絞って分析と投資を行っている。
今現在最も多く組み込んでいるのはヘルスケアセクターのCanopy Growth Corp社の株式で組み入れ比率は33.88%となっている。大麻の規制緩和によって俄かに注目を集めたカンナビス領域の事業を手掛けていることもあり、ご存知の方も多いかもしれない。
一つの銘柄にこれだけ集中投資を行うのはファンドマネージャーの裁量が大きいヘッジファンドならではと言えるだろう。
ちなみに組み入れ銘柄の2位は個人投資家にも人気の高いAmazonの株式となっており、21.21%と高位の組み入れ比率だ。
とは言え、組み入れ上位10銘柄のうち8銘柄はヘルスケア市場の企業への投資となっていることや、保有していたアリババの株式を全処分したことなどからも消費財・小売セクターへの投資は今後も一部にとどまる可能性が高そうだ。
同ファンドは一度ポジションを持つと平均で9.53四半期保有し続けており、上位10銘柄に絞って見ても4.70四半期の保有期間がある。頻繁に売り買いするというよりは、どっしりと構えて運用するスタイルと言える。
先日ご紹介したOdey European(オデイ・ヨーロピアン)の記事の中で言及した逆イールドが現実のものとなった。堅調に推移してきたこの5年間はインデックス運用だけでも勝つことは難しくなかったが潮目が変わるのかもしれない。
JW Partners LPやOdey Europeanのような株式ロングショート戦略にとっては、2019年は勝負の一年となりそうだ。
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