退職金を資産運用しないと老後資金が足りなくなる?
退職金を資産運用しないと、老後資金が不足する恐れがあります。
その理由として、退職金の支給額が下がっていることや日本人の平均寿命が上がっていることなどが挙げられます。また、以前は退職金を銀行に預けておくと1~3%程度の利息が付きましたが、現在は銀行に退職金を預けても利息はほとんど付きません。
この記事では、退職金を資産運用するべき理由を明らかにしたうえで、資産運用で退職金を増やす方法について解説します。
理由①退職金の支給額が下がっているから
退職金を資産運用しないと老後資金が不足する理由として、退職金の支給額が減っていることが挙げられます。厚生労働省の調査によると、平成30年の退職金の平均支給額は1,788万円(※)で、平成15年の2,499万円と比べると約28%低下しています。
和暦 | 退職金平均支給額 |
---|---|
平成15年 | 2,499万円 |
平成30年 | 1,788万 |
さらには、退職金の支給額が下がっていることに加え、従業員に退職金を支給する企業数自体も減ってきており、退職金を受け取れない人も増加しています。経済状態が大きく改善しない限り、退職金の支給額は今後も下がり続けると予想されます。
そこで、退職金の増加が見込めないのであれば、何らかの方法で退職金を増やすことを考えることが必要です。そのためには、退職金は資産運用で増やすことを検討しましょう。
(※)厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」より
理由②平均寿命が上がっているから
平均寿命が上がっていることも、退職金を資産運用しないと老後資金が不足する理由の一つです。厚生労働省の調査(※)によると、令和元年の日本人の平均寿命は男性が81.41歳、女性が87.45歳になっており、一貫して平均寿命は上がっています。
和暦 | 男性平均寿命 | 女性平均寿命 |
---|---|---|
平成2年 | 75.92歳 | 81.90歳 |
令和元年 | 81.41歳 | 87.45歳 |
平均寿命が上がるということは老後の生活期間が長くなることであり、退職金を使い切ってしまい生活に支障が出るケースも増えるでしょう。退職金の枯渇を防ぐためにも、資産運用で退職金を増やそうと考えることが必要です。
(※)厚生労働省「令和元年簡易生命表の概況」より
理由③銀行の普通預金の金利が下がっているから
銀行の普通預金の金利が下がっていることも、退職金を資産運用しないと老後資金が不足する理由です。2021年の普通預金の金利は0.001%で、1974年の3%と比べると3,000分の1の超低金利になっています。
西暦 | 普通預金の金利 |
---|---|
1974年 | 3.0% |
2021年 | 0.001% |
現在の金利だと2,000万円を普通預金に預けても、1年間で200円しか利息は付きません。1974年の3%の金利だと1年間で60万円の利息が付いていました。現在は銀行に預けても退職金は増やせないので、資産運用で増やすことを考えましょう。
また、退職金を手にしてどのように資産運用しようか迷っている方は「【60歳・65歳からの資産運用】60代から投資する場合のおすすめポートフォリオを紹介!」もぜひ参考にしてください。
退職金の資産運用方法でおすすめの使い道は?
それでは次に、退職金の資産運用でおすすめの方法を見ていきましょう。退職金のようなまとまったお金を運用するには、以下の運用方法がおすすめです。
・国債|年2回の利子を受け取りながら安全な資産運用をしたい方
・投資信託|少額からプロに任せて投資をしたい方
・保険|万が一の事態に備えながら将来のための貯蓄をしたい方
・ヘッジファンド|資産運用のプロに任せて高利回りを狙いたい方
銀行の定期預金|安全性重視で将来のために確実な貯金をしたい方
安全性重視で将来のために確実な貯金をしたい方は、銀行の定期預金が向いています。銀行は退職金の運用に特化した「退職金運用プラン」を提供しており、一般的な定期預金よりも高利回りで退職金を運用できます。
退職金運用プランの内容は銀行によって異なりますが、「円定期預金コース」と「投資信託組入れコース」の2つのコースを選べるケースが大半です。円定期預金コースは定期預金で運用し、投資信託組入れコースは定期預金と投資信託で運用します。
「円定期預金コース」は安全性を再重視したい方に向いており、最初の1年間は年利0.35%、2年目からは年利0.002%程度で運用できます。年利0.002~0.35%は普通預金の金利よりも高いですが、他の金融商品と比べると極めて低金利です。
「投資信託組入れコース」は定期預金だけでなく、資金の一部を投資信託で運用します。投資信託組入れコースは、投資信託の運用益を狙って資産を増やしたい人に向いています。しかし、投資信託は元本割れを起こすリスクがあり、確実に資産を増やせるとは限りません。
国債|年2回の利子を受け取りながら安全な資産運用をしたい方
普通預金や定期預金よりも利回りが高く、年2回の利子を受け取りながら安全な資産運用をしたい方は国債での資産運用が向いています。個人向け国債はいろいろな商品がありますが、金利の最低利率は0.05%なので普通預金や定期預金よりも高利回りです。
0.05%の利回りは普通預金の金利の0.001%の50倍ですが、他の金融商品と比べると利回りは低いです。そのため、高利回りで資産運用をしたい人には国債での運用は向きません。
しかし、国債は国家が破綻しない限り元本割れを起こすことはないので、分散投資の対象には最適です。高利回りの金融商品で退職金を運用する際は、資産の一部を国債で運用しておくと価格変動リスクに備えられます。
投資信託|少額からプロに任せて投資をしたい方
投資信託は100円~の少額から始めることができ、普通預金や定期預金、国債よりも高利回りを狙えます。投資信託は種類が多く期待利回りはまちまちですが、銘柄によっては年利10%以上の高利回りも可能です。
運用はファンドマネージャーと呼ばれる投資のプロが行うので、プロに任せて投資をしたい方に向いています。資産運用をして利益を出すには投資の専門知識や経験が必要になりますが、投資信託だと専門知識や経験が少なくても大丈夫です。
投資信託はさまざまな金融商品を投資対象にしますが、債券型と株式型の大きく2つに分けられます。利回りは株式型の方が高く、新興国株式インデックスだと年利4%前後の利回りが期待できます。銘柄によっては10%以上の高利回りを狙えますがリスクも高くなります。
投資信託は元本保証はなく、元本割れを起こすリスクがあります。利回りが高くなるほどハイリスクになるので、リスクとリターンのバランスを考えて投資することが大切です。
保険|万が一の事態に備えながら将来のための貯蓄をしたい方
個人年金保険や養老保険、終身死亡保険などの貯蓄型保険は、万が一の事態に備えながら将来のために貯蓄をしたい方に向いています。貯蓄型保険は保険料が掛け捨てではなく、満期になるとお金を受け取れます。
貯蓄型保険の利回りは保険商品によって異なりますが、年利1~2%で運用できるものもあります。年利1%以上の利回りで資産運用ができるので、普通預金や定期預金、国債よりも有利です。
ただし、株式投資や投資信託などと比べると利回りは低いので、高利回りを狙いたい方には向いていません。貯蓄型保険は中途解約をすると元本割れを起こすリスクがありますが、他の金融商品と比べるとリスクは低く、安全性を重視したい方にも向いています。
ヘッジファンド|資産運用のプロに任せて高利回りを狙いたい方
資産運用のプロに任せて高利回りを狙いたい方は、ヘッジファンドでの運用が向いています。ヘッジファンドは富裕層向けの金融商品であり、最低でも1,000万円の資金が必要になりますが、退職金があればヘッジファンドでの資産運用が可能です。
ヘッジファンドは年利10%以上の高利回りが期待でき、退職金を大きく増やせる可能性があります。2,000万円を年利10%で運用すると年間の利益は200万円になり、これは普通預金の金利の1万倍です。
ヘッジファンドはリスクを避けながら、下げ相場であっても年利10%以上の絶対収益の獲得を目指します。高利回りを狙いながらリスクを低く抑えて運用することがヘッジファンドの特徴であり、他の金融商品にはない魅力です。
ただし、ヘッジファンドは他の金融商品と同じく元本保証はなく、100%確実に利益を出せるわけではありません。「元本保証があるので安心」とヘッジファンドを紹介された場合は詐欺案件の可能性があるので注意が必要です。
退職金をヘッジファンドで運用しようか考えている方は「退職金運用はヘッジファンドがおすすめ?人気の理由や投資における注意点は?」もぜひ参考にしてください。
退職金の資産運用で押さえておくべき3つのポイント
退職金は老後の生活を支える大切な資金です。運用に失敗すると老後生活に支障をきたすので、十分注意して運用することが求められます。ここからは、退職金の資産運用で押さえておくべき3つのポイントを見ていきましょう。
安全性の高い金融商品を選ぶ
退職金で資産運用をする際は、安全性の高い金融商品を選ぶことが大切です。資産を増やすことに執着しすぎず、まずは資産を減らさないことを心がけましょう。
一般的に、利回りが低い商品ではリスクが低く安全性が高い傾向にあります。具体的には、銀行預金や国債、保険商品などは安全性が高いです。
しかし、これらの金融商品では資産を短期間で大きく増やすことはできません。できるだけ高利回りで資産運用したい方は、リスクを回避しながら高利回りを狙えるヘッジファンドを検討すると良いでしょう。
リスクは必ず分散する
退職金の資産運用では、リスクを分散することが重要になってきます。リスクの分散には「投資先の分散」や「時間の分散」などがあり、リスクを分散する投資手法を「分散投資」といいます。なお、ヘッジファンドは複数の金融商品で運用するので分散投資が可能です。
退職金を運用する際は、全額をある特定の金融商品だけに投資せず、複数の金融商品に投資すると投資先を分散できます。また、全額を一気に投資に回さず、何回かに分けて投資すると時間の分散が図れます。
信頼できる相談先を見つける
退職金で資産運用をする際は、信頼できる相談先を見つけることが大切です。特に投資の経験が少ない方は、まずは気軽に相談できる相手を見つけるようにしましょう。信頼できる相談先が見つかれば、自分の運用目的に合った商品を紹介してもらうことができます。
また、適切な相談先を選ぶ上では、投資家と利害が一致している相手に相談することをおすすめします。投資家と利害が一致している相手に相談すれば、どのように運用すれば利益が出るかを一緒に考えてもらいやすいので、投資家にとって心強いでしょう。
なお、投資家と利害が一致している相談先には、独立系FPである「IFA」や、投資助言会社が挙げられます。
退職金の資産運用方法について相談したい方は?
ここまで見てきた通り、退職金の運用方法はさまざまです。リスクとリターンは比例しており、高いリターンを狙いたい場合は高いリスクをとる必要があります。
退職金の運用を考える際に「これまで一生懸命働いてもらえた大切な退職金だから、なるべく減らさずに上手に運用したい」と考える方も多いでしょう。そんな方は、ぜひヘッジファンドダイレクトにご相談ください。
ヘッジファンドダイレクトでは、お客様のニーズに沿ったオーダーメイドの資産運用が可能なヘッジファンドを紹介しているので、大切な退職金を守りながら運用したいというあなたのニーズに応えて投資助言を行います。