フランスの浮世絵師、アンリ・リヴィエールの初の本格的回顧展が、葉山の神奈川県立近代美術館で5日より開催される。
日本では、リヴィエールと言えば北斎の「富嶽三十六景」にちなんで作られた「エッフェル塔三十六景」シリーズが有名で、それ以外の作品はあまり知られていない。またこれまで、リヴィエールの作品の全貌は本国フランスでもなかなか見ることができなかった。
しかし、2006年にリヴィエールの遺産を管理するヌフラール家が、フランスに多くのリヴィエールの作品と、浮世絵版画などのコレクションを物納。これを機に作品の全貌が研究され、浮世絵版画コレクションの研究に日本側が協力したことがきっかけとなり、この展覧会が実現した。今回の展覧会は、リヴィエールの初めての本格的な回顧展となる。
展覧会の内容は、一部は初期作品と影絵劇を紹介する『カフェ「シャ・ノワール」』、二部はブルターニュの自然を描いた『ブルターニュ 自然の風景』、三部は「エッフェル塔三十六景」シリーズなどを紹介する『世紀末パリ』、四部は『リヴィエールと日本』、五部は『近代日本絵画とリヴィエール』というテーマで展開される。
アンリ・リヴィエールは、19世紀末のフランス美術界でブームになったジャポニスムに深い影響を受けた画家・版画家。北斎や広重らの浮世絵に心酔し、浮世絵の影響を受けつつ、フランスの自然や都市の光景を描いた多くの作品を生んだ。