経営者必見!世界一の部下の育て方【師弟愛】

■師匠と弟子
 1勝のために、数万人という大観衆の前で、肩を抱き喜んでいる大の男2人がいた。2007年2月25日、明るく陽が差す中でもまだ風は肌寒さを感じさせる中山競馬場。ローエングリンで「中山記念」を勝利した伊藤正徳調教師と後藤浩輝騎手の2人に、スタンドを埋め尽くす大観衆の視線が集まっていた。

 経営者と部下。この間柄は、会社の規模や仕事の内容から言って、「師匠と弟子」と言い換えても良い関係もあるだろう。その場合はトップと部下よりも遥かに固い絆で結ばれていることが多い。

競馬の世界も今や高学歴な調教師も増えて、よく言えばクールに厩舎運営を行う人も多くなった。また、武豊騎手らフリー騎手の活躍によって、師弟関係は薄れていきつつある。だが、古くから消えることのない普遍の絆もいまだにあるのだ。

伊藤氏は、弟子が乗れない時代も我慢して育て、またアメリカ武者修行も許すなど現代においては、弟子を大事にする人でもあった。その甲斐あってか後藤騎手はメキメキと腕を上げていき、今では年間100前後の勝ち星をあげ、人当たりの良さからファンや関係者からも人気を集めるようになった。

しかし、好事にはいつも魔が潜んでいるものだ。

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