大手時計メーカー「シチズンホールディングス」の香港の代理店社長が、シチズンからの手数料など所得約11億円を隠し脱税していたことが、先日、東京国税局の調べで発覚した。この種の事件が起きる理由には、国による税負担の割合の違いがある。この事件を通して、背景を見てみることにする。
この香港の代理店は「トップ・パシフィック(創邦有限公司)」。石川雅人元社長(64)は、東京の田園調布に住みながらも、香港の居住者であると虚偽の申告。日本では税務申告していなかったという。
香港は17%、日本40%(ともに最高税率)。どちらで税金を払いたくないか、この税率を見れば明らかだ。だが、日本の租税法では、居住地を日本に置いて、1年間の大半を日本で過ごせば日本で納税義務が生じる。
近年は、納税者と当局のイタチごっこが続いている状態。仮に年間の大半を海外で過ごしても、日本に生活拠点があると当局や司法が判断すれば、クロという流れに傾きつつあるようだ。日本では代表的な事案として、武富士創業家の相続の一件がある。現在、最高裁で係争中だが、司法判断の行く末を関係者は見守っている。
◆参考 ここまでやると脱税?