サブプライム崩壊を予言したエコノミスト・中原圭介氏インタビュー

親が間違えるから子供も間違える

 各家庭とも資産運用を色々とやっていることだろう。しかし、世界中の市場が暴落したことで資産の目減りにストップが利かない。確か勧誘した金融機関の営業マンは、良いことをいっていたはずだったのに…。そんな風にいまさらながら後悔の念を募らせている人も多いのかもしれない。

 「国際分散投資、金融工学が間違っていたのです。そんな理論や統計だけ学んでも、昔の10年20年で起きていたことが、世界がグローバル化したこともあって今は平気で1年、2年くらいの周期で起きます。だから役に立たないのです。金融機関の営業マンも、また正しい教育を受けていない。買うお父さん、お母さんもそう。学校給食費未納の保護者が多いと聞きますが、考えられないですね。その両親から教育を受ける子供も、そうなるのは仕方がありません」

 今、世の中にはあらゆるところに間違った教育が蔓延しているということになる。中原氏は「わたしが子供の時は、両親が自営業をやっていて、商売ってたいへんなんだなぁと思いました。チラシを配って、○○円という風におこづかいをもらっていましたね」と少年時代を回想した。そもそも、お金とは労働の対価。金儲けとは簡単ではない。氏は少年時代にしっかりと経済観念を身につけ、大学で歴史、文学、心理学などを学び、独自の考え方を体系付けるに至っている。

 今、親の立場にあるあなたはどうだろう? 自分の子供時代、欲しい物を買うために貯金箱にせっせと小銭を入れた記憶はないだろうか? お金とは一朝一夕で増えないということはすでに肌身に感じていたのではないか。その当時に身に着けた金銭感覚、それをもう一度思い出してみることが投資・金融教育の第一歩ではないか。金融危機とは程遠いように思われるが、根っこはこんな小さなことにあるのかもしれない。中原氏は今後、子を持つ親や子供たちに、ライフワークとして訴えていきたいという。

 中原圭介氏(なかはら・けいすけ)
 ファイナンシャルプランナー兼エコノミスト。金融コンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」のディレクターとして活動。顧客の資産運用コンサルティングを行う傍ら、執筆、セミナー活動も行う。「株の勝ち方はすべて外国人投資家が教えてくれる」「サブプライム後の新資産運用」などの著書がある。

1 2 3 4
よかったらシェアしてね!
目次
閉じる