ルネッサンス文化が花開いたフィレンツェは、世界遺産の宝庫

世界遺産「フィレンツェ歴史地区」

 花の都、フィレンツェはルネッサンス発祥の地であり、14世紀から18世紀にかけメディチ家の庇護のもとに繁栄した。今でも街にはイタリア・ルネッサンスを象徴するサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂やメディチ家の収集した美術品を展示するウフィツィ美術館など歴史的建造物が多く残る。

 街はそれ程広くないので全て歩いて廻れる。ホテルは街の観光が中心ならヴェッキオ宮からドゥオーモあたりがお薦めだが、日帰りで他の世界遺産も訪れる場合は駅のそばの方が便利。私はクローチェ・ディ・マルタという中世トスカーナ風のホテルに泊まったが、駅まで歩いて5分と便利だった。

フィレンツェの観光はヴェッキオ宮から


ヴェッキオ宮
 ヴェッキオ宮はシニョリーア宮とも呼ばれ、1299年から建設が始まり、増築・改修が施され16世紀後半には現在の形になった。1530年にトスカーナ公国が出現するまではフィレンツェ共和国の政庁だった場所。粗い石積みの外観は簡素だがゴシック様式の2連窓が2段に並び、右前方には高い塔がそびえている。手前の広場にはいくつもの彫刻が並びさながら野外ミュージアムといった雰囲気。


ウフィツィ美術館の外観
 ウフィツィ美術館はベッキオ宮のすぐ隣にある。本来は入場予約制なので、予約が必要だが、私が行ったのは1月だったので、予約無しですぐ入れた。トスカーナを中心としたイタリア絵画の傑作が数多くあるので、じっくり見るには2・3日必要だが、できれば1日はほしい。写真が撮れないのが残念だが、圧巻はボッティチェリの「春」と「ビーナスの誕生」。この絵を見るだけでもフィレンツェを訪れる価値がある。


ヴェッキオ橋
 ヴェッキオ橋はアルノ川にかかるフィレンツェ最古の橋。橋の両脇には彫金細工店や宝石店が軒を連ねる。橋は2層で2階部分はヴェッキオ宮とピッティ宮を結ぶ通路。ヴェッキオ橋を渡り、サント・スピリト地区へ行くとピッティ宮、オルサンミケーレ教会、と見どころが続く。

サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂


サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂
 花の聖母寺とも言われる。正面をよく見ると大理石は白、ピンク、緑と3色あり、13世紀のゴシック建築の中で最も美しい建造物と言って間違いないだろう。

 広さはヴァチカンのサンピエトロ寺院、ミラノのドゥオーモに次ぎ3番目。内部はお祈りをする椅子を置いてないので、すっきりと広く見えるが、周囲には有名な肖像や大理石の飾りがさりげなく配置されている。


天井のフレスコ画
 見上げると91メートルの高さのクーポラ内部に描かれたフレスコ画「最後の審判」が見える。16世紀後半にヴァザーリらにより描かれたもの。ドゥオーモのクーポラに登る途中でさらに間近に見ることができる。

 500段の階段があるというドゥオーモのクーポラに登った。壮大なクーポラは隆盛を誇った当時のフィレンツェの象徴であり、あまりの大きさに圧倒される。登りの通路と降りる通路が別にあり、その階段は極めて狭い。15分程登り続け、ヘトヘトになったがようやくクーポラの頂上にたどりついた。日頃運動不足の方や、お年寄りの方には相当きつい登りとなるので判断は慎重に。しかし登ってしまうと直径6メートル程の狭い回廊になっており、街の景色が360度見渡せる。遠くにヴェッキオ宮やウフィツィ美術館、アルノ川が眺められた。


クーポラの頂上から見たフィレンツェの街並み
 町全体の建物の屋根瓦がどれも薄いレンガ色で、看板やネオンサインが無いので、景色がしっとりと落ち着いて見える。日本の都会の風景を日々見ていると、このシンプルで素朴な景色が、たまらなく貴重な風景に見えてくる。

 フィレンツェの最終日はアカデミア美術館や、サン・ロレンツォ教会を見たが、ミケランジェロのダヴィデ像で有名なアカデミア美術館は前を3回通っても入口が分からなかった。これが美術館なの、というような小さな扉だった。

 フィレンツェは1982年に「フィレンツェ歴史地区」として世界遺産に登録されたが、周辺にも世界遺産が多くある。私はフィレンツェに4泊したので、以下の4件の世界遺産も見て廻ることができた。

 フィレンツェは「天井のない美術館」とも称されるが、このような美術館が過去の戦禍を免れ、現在まで残っていることに感謝したい。

よかったらシェアしてね!
目次
閉じる