ヴェルサーチ日本撤退の裏側【2】

高級ブランドの魅力ダウン、ファストファッションの魅力アップ


(写真はイメージ)
 日本の消費者は手ごわい、と言われる。それは安いだけでは物を買わないからだ。ユニクロなどのファストファッションでも、価格だけでなく品質やデザイン性なども重視する。これは何も富裕層に限らず、平均的な日本の消費者の姿だ。

 ブランドも昨今は、コストカットを迫られ、ファストファッションとの境界線がだんだんと見えなくなりつつある。消費者が現在の高級ブランドに魅力を感じなくなっている感も否めない。本当に景気だけが原因だろうか。また逆にユニクロなどは厳しい競争を勝ち抜き、価格だけでなく品質の向上を目指したことが、今の景気状況も後押しとなり、支持を拡大している面もあるだろう。

 確かにアジアでは、中国の方が商圏の拡大が見込まれている。だが、日本の富裕層は自分たちの要求を満たしてくれる『本物』には出す金を惜しみたくないとも考えている。「日本の市場の将来」を、ていのいい撤退の理由として使うことは、本当の消費者である富裕層にとっては心外だろう。また、それはブランドにとっても、本当の顧客を逃がしていることにもつながりかねない。(終わり)

1 2
よかったらシェアしてね!
目次
閉じる