車好きの価値観は料理と同じ


1951年に発表されたメルセデス・ベンツ220サルーン
 私は物心ついたころから車好き、最近でこそ落ち着いてきたものの、兄の車好きも手伝ってか今まで乗ってきた車は国産外車と含めて20数台にのぼります。

 日本の高級車はメルセデス、BMWなどヨーロッパの自動車メーカーに比べ、高級車としての歴史が浅いです。古くから受け継がれてきたヨーロッパ職人の車作りは、少々不具合が出ようが例えようもない「味」「雰囲気」「ステータス」を感じることができます。その車に乗り込んだだけで、その国の雰囲気を何か空気で感じるような気がする、これは外車ならではの魅力なのかもしれません。

 もともと生活文化が違うのだから、この感覚は日本人では考えつかないような発想から出てくるのでしょう。食生活でも、外国人にはおいしい料理でも、日本人にはまるでダメなものもある。車好きの価値観は、料理の感覚に例えてもいいかもしれませんね。

 でもヨーロッパのファッションや建築物、物のデザインとなるととても新鮮に見え、一目見て立ち止まって見入ってしまうほど魅力的なものがあります。最近のヨーロッパ車のデザイン、特にアウディやポルシェのデザインは一世代先を行っていると思います。新型が出た時はなんか妙だな……と思っていても、そのうち強烈なアイデンティティで街に溶け込み、一目見てそれとわかるのです。

 でも、それを恥ずかしげもなく、デザインやアイデアをうまーくコピーするのが日本車です。韓国もいやらしいコピーをします。でも車のコピーなら日本車が上。同じコピーでも、技術的クオリティがはるかに上なんです。昔のRX7=ポルシェ、ディアマンテ=BMW、ファミリアセダン=ベンツ190、GTO=フェラーリ。またデトマゾなんとかとか、名前までいただいちゃったり、少し前に流行ったマーチや軽自動車のクラシックスタイルはアウトビアンキやローバーミニからヒントを得ているのだと思います。



 メルセデスがドアミラーウインカーを出したとたん、国産車でも早々に認可されて、じゃんじゃん出してきました。これはコストがかからないし簡単ですが、発想が違います。ベンツは視覚的に最善の方法として、ドアミラーウインカーを出しました。またメルセデスが採用したリアレンズが凹凸なのは、悪路でレンズが汚れても光量を確保できるようにするためです。日本はあのベンツがやったから、オレもやっちゃうって感じなんですね。

 日本車メーカー、外車メーカーの日本法人の偉い(賢い)ところはこういう「なんちゃって」もうまく作り、高級車といえば「ベンツ」、スポーツカーといえば「ポルシェ」など歴史あるブランドを所有するというステータス、またそれらのメーカーを上手く国内に浸透させたマーケティングに他なりません。確かに車の出来もすばらしいと思うところもあります。でも私自身、最近乗り継いで来た車はすべて国産車で、今はレクサスに乗っています。なぜ外車にのらないのか。それは壊れるから!という私の先入観のせいなんです。

 私は緻密な精度を必要とする製品は、車も電化製品も絶対日本製だと思っています。もしくは、スイスなら確かな製品を作るのではないでしょうか? トゥールビヨンのような芸術的な製品を作るアナログ職人がいるんですから。

 私の周りの外車オーナーはうれしそうに外車に乗っていますが、とかくトラブルの話をよく耳にします。で、修理がいくらかかったとか高価な修理代を嬉しそうに?話しています(笑)。実際に自分もそうでしたが、今考えるとおかしな価値観のような気がします。


 また私はドラックスタークラシック1100というハーレーのコピーのようなバイクに乗っています。ドラックスターは日本のヤマハ発動機(名前もいい)。2003年に購入、数万キロ走りましたがパンク以外トラブル無し。以前バイクチームに所属していましたが、そのメンバーの1人はハーレーを購入していきなりエンジン載せ変えのトラブルにあったそうです(さすがハーレー?)。

 2輪も4輪も駆動系が弱いとか電気系が弱いとかいうのは、みーんな外車。リコールにならないパーツ類ですが、なぜか完成品になると壊れる可能性が高いのです。今はほとんどの外車メーカーで3年無償保証がありますが、壊れること自体が私はいやなんですね。でもモノの価値観は人それぞれ。自分の価値観を大切にしてこだわるってすごく素敵なことだと思います。

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