オックスフォード大学の環境変化研究所と米ニールセン・カンパニーが実施した「環境及び気候変動に関する世界意識調査」の結果が17日に発表された。世界の多くの国々で気候変動に関する興味が低下し、過去2年間で2桁台の落込みを示していることが明らかになった。
2009年10月に実施した最新の調査結果によると、「気候変動にとても懸念を抱いている」と回答した人は、世界平均で37%(2007年度41%)、地域別ではラテンアメリカ(57%)とアジア太平洋地域(42%)が高い値を示した。一方で、北アメリカは関心が低く25%だった。
54カ国中35カ国で気候変動への関心が薄れ、特にポーランド(23ポイント減)とカナダ(22ポイント減)が最も大きく落ち込んだ。またスペインが18ポイント減、台湾、ポルトガル、スウェーデンが各17ポイント減だった。
ニールセン・カンパニー、ビジネス・インサイト・ディレクター欧州地域担当のジョナサン・バンクス氏は「世界的な不況と経済的苦境への関心が高まったことで、気候変動の問題は、最重要の議題から外れ隅に追いやられてしまいました。現在、不況が後退し始めており、次期コペンハーゲン・サミットにおいて、再度この問題が重要議題として取り扱われることを期待します」とコメントしている。
気候変動と環境問題に対する認識と懸念は、前米国副大統領のアル・ゴア氏のドキュメンタリー映画「不都合な真実」の公開や地球環境保護を謳った「ライブ・アース・コンサート」が開催された2007年をピークに減少。気候変動に最も懸念を抱いている国は、フィリピン(78%)、インドネシア(66%)、タイ(62%)、メキシコ(62%)で、いずれも異常気象や自然災害により、実際に被害を被った国々だった。
またヨーロッパとラテンアメリカの人々は、気候変動の解決に向けた政府主導の調査を望んでおり、アジア太平洋地域では、企業の排出する二酸化炭素やその他汚染物を政府が制限することを支持していることがわかった。中東やアフリカでは、主要な輸送機関の改善に政府が投資することを強く望んでいた。反対に北アメリカは政府の介入を最も望んでおらず、資源の再利用やエネルギー消費量の削減、省エネ仕様の電球や設備の導入など、個人的レベルで改善すべきであるとの考えが多数を占めた。