脱税4.5億!マルサに摘発された元ヒルズ族

「溜まり」ある所にマルサあり

 FX(外国為替証拠金取引)の脱税が世間をにぎわしたのは、一昨年2007年のことだった。多くの案件が国税局によって摘発されたが、例をあげてみると、次のようなものがある。

・東京都世田谷区の主婦(約8億円)
・東京都足立区の不動産賃貸業夫婦(7億5000万円)
・兵庫県西宮市の元職員の一家(7億2600万円)
・和歌山市の元小学校長(3億1200万円)
・栃木県足利市の89歳男性(10億8130万円)

 どのケースを見ても、普通の人が知らずにやってしまったら、自分が脱税をしていたことを後になって国税局から知らされたというパターンだ。特に、栃木県の89歳の老人が10億円以上もの利益を出すということ自体、FXという投資商品が驚異的なリターンを上げる爆発力があることを物語っている。それだけに、その作用が逆に働いたとしたら、自分に大きなマイナスが降りかかる。もちろん、その時になって「知らなかった」では世間は許してはくれない。

 国税のやり方としては、その人の全盛期の2、3年後に「溜まり」(国税用語の蓄え)があると見て査察を行う傾向にある。つまり、ある程度取り立てる見込みがあるかどうかという、コスト感覚が働かせる。現在は景気の影響なのか、その金額のハードルを下げているようで、数千万円レベルの溜まりでも踏み込むことがあるという。

 FXトレーダー、会社経営者、六本木ヒルズ在住。「これなら取れる」と東京国税局はソロバンを弾いたことだろう。ヒルズの磯貝邸は、ガサ入れのターゲットになった。

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