「富三代」加速する香港大富豪の世襲

 香港の新世界中国不動産は、鄧志雯(とうしぶん)と鄧志謙(とうしけん)の両氏を執行取締役に任命すると発表した。2人は、香港の大財閥の一つ、新世界発展グループの会長で香港四大富豪の一人、鄧裕彤(とうゆうとう)の孫。鄧裕彤の他の2人の孫、鄧志剛(とうしごう)と鄧志明(とうしめい)兄弟はすでに取締役に就任しており、今回の人事で鄧家がさらに「富三代」のために世襲を加速させている事が明らかになった。

 鄧裕彤は現在84歳で、すでにリタイアしているが、後継ぎの人材は豊富にいる。息子2人に娘2人、さらに10人の孫がいるとされる。息子2人は早くから新世界グループの取締役会に入り、長男の鄧家純(とうけじゅん)は、「新世界中国不動産」、「新世界百貨中国有限会社」、「新創建グループ有限会社」の会長、さらに「新世界発展有限会社」の副会長と取締役社長に就任している。

 2007年、「新世界百貨中国有限会社」が香港H株に上場した際、当時28歳だった孫の一人鄧志剛は、会社の執行取締役としてすべてのイベントに出席し、華々しく人々の前にデビューした。現在、「新世界発展グループ」の執行取締役と、「周大福珠宝」の取締役を務める。

 鄧志剛は“多忙な三代目”の一人だ。2009年11月18日に結婚して3日も経たないうちに、北京へ新しい事業のセールスに向かった。その事業とは香港の商業地区尖沙咀(チムサアチョイ)に新設されるスポーツ用品のショッピング館、“K11”。K11は鄧志剛が初めて完全に舵を取る事業で、投資額はおよそ30億香港ドルだ。意欲に満ち溢れた鄧志剛は、今後5年から7年で国内に7カ所「K11」を開設する予定だと表明した。

 鄧志剛の妹である、鄧志雯(とうしぶん)は今年29歳。これまで、新世界酒店管理会社の執行取締役副会長を務めてきた。家業を担う前は、国投資銀行などで仕事をした経験もある。31歳の鄧志謙は「国際娯楽」の執行取締役も同時に任される。2人が執行取締役に入ることで、鄧裕彤の娘婿など3人が退くことになる。

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