ペルシャ絨毯コレクションは欧米富裕層のたしなみ

高い教養とステータスの象徴


富と教養の象徴
 ペルシャ絨毯のコレクションは『富』『教養』両面の豊かさを兼ね備えていなければ成り立たない、とも言われている。高いもので1億円を越える絨毯もありそれを手に入れる財力と同時に、高い文化的教養がなければ文化芸術作品としての本質的な価値を見抜く目が育たないからだ。当然ながらコレクターには羨望の眼差しが集まる。製作から100年の時を経ても色あせることがない輝きを放つペルシャ絨毯をコレクションできるのは、欧米社会の富裕層の中でも、持つにふさわしい資格を与えられた者だけが享受できる特権でもある。

5000年の歴史を持つ


ハマる富裕層も
 ギリシア神話や聖書などの記述によるとその歴史は4000~5000年前とされているものの、それら文献以外に証明するものは何もない。また現物最古の絨毯としては約2500年前のものが、ロシアのエルミタージュ美術館に保管されている。これだけの歴史を持ちながらも、誰が何のためにどこで作り始めたのか。いまだ解明されておらず、いわば神秘そのものでもある。日本では本格的なコレクターはまだほとんどいないが、日本でも実際の資産価値を抜きにして、そのミステリアスさや芸術性に引き込まれ興味を持っていく富裕層も増えているという。
 
 糸がまるで絵画のように映し出される模様や風合い。気が遠くなるような製作過程の中の一瞬一瞬で職人たちが吹き込んだ魂が、見る者を別世界へと引き込んでしまう。まずは糸(絹など)をつむぐ。そして、天然染料で染め上げる。それを1本ずつ手作業で織っていく。そんな気の遠くなるような作業は、完成まで1枚あたり長くて6年にも及ぶという。また、大きさによってはそれ以上の年月を要するものまである。
 
 つまり1人のペルシャ絨毯の職人が一生の間に残す作品は限られている、ということでもある。全人口約6600万人で、そのうち700万人がペルシャ絨毯に携わる人たちで占めるイラン。それでも同じものを2つと、この世界に残すことはまず不可能だということがおわかりだろう。

1億円を超えるものも


ケルマン地方で1840年ごろ作成。1億数千万円
 作品の中には人気が出れば、1枚の価格が1億円以上になるものもある。例えば1840年ごろイラン・ケルマン地方で製作したとされる写真の絨毯には1億円以上の値がつけられており、歴史に残る作品ともいわれている。素材はウール、大きさ336センチ×211センチ。テーマはギリシア神話。背景の花園は細かく色分けされ、青年が笛を吹き妖精や天使が踊る様子が描かれており、絨毯の上をまるでキャンバスのようにして幻想的な空間が醸成されている。

現物資産として資産防衛にも最適


製作作業を行う職人
 欧米やイスラム社会では、1人で軽く100枚、200枚と所有している資産家もかなりいるという。需要がある以上は、資産を防衛する上で有効な現物資産ともいえる。ヨーロッパでは金、ダイヤモンドなどと並んで信頼を置かれている現物資産でもある。また、価値あるものについては値上がりも見込めるので、キャピタルゲインも狙うことができる。上級コレクターたちは、自分のコレクションでポートフォリオを作成。定期的に入れ替えるなどして、芸術としても資産としても優れている自分だけのドリームチームを構築していくのが最高の贅沢な楽しみ方なのだという。実際にはサザビーズなどのオークションでもよく出品されて、取引が成立している。そのため流動性という点でも心配はなく、資産性はかなり高い。

 ペルシャ絨毯に1億円以上。しかし、その資産性というよりも、価値を評価できる教養と心の豊かさこそがペルシャ絨毯オーナーというステータスに他ならない。

CTA
よかったらシェアしてね!
目次
閉じる