引退後の朝青龍は、経営者か政治家か?

 知人への暴行問題で去就に注目が集まっていた、大相撲の横綱・朝青龍関(29)が4日、現役を引退した。最悪の解雇処分の可能性もあったが、決断は自ら土俵を去るというもの。今後はモンゴルで実業家、さらには政治家に転身するのか注目が集まる。

 優勝25回。歴代優勝回数3回位の大横綱の朝青龍関(本名、ドルゴルスレン・ダグワドルジ)は横綱らしく自ら身を引く道を選んだ。責任を取った形だが、ここ数年は「彼はいつ引退してもいいと思っている。時間が空いたらしょっちゅうモンゴルにも帰っていたし、ビジネスに熱心だよ」(タニマチ筋)という見方があった。かつて地方巡業を欠席して、モンゴルで中田英寿氏とサッカーに興じる姿がTVの映像で流れたことは、記憶に新しい。

 ビジネスに熱心とはどういうことか。朝青龍関は四股名から名前を取った「ASAグループ」というファミリー企業をモンゴルに持っているという。日本相撲協会の規定では、力士の副業は禁止されているが、この企業は兄弟たちが実質的な経営者となっているのだという。旅行業者、人材派遣、温泉、さらには国営サーカスまで事業は多岐に渡る。

 全盛時代には、2億円近くに上ったとも見られている年収。連続優勝やCM出演など土俵内外で大活躍した。副業規定の例外扱いになるCMだが、朝青龍関のCM出演料は1本2000万円(関係者)と言われる。日本相撲協会からの給料は横綱の場合は282万円。さらには懸賞金なども入る。類まれな成功事例だが、かつて3年分の申告漏れ1億円を東京国税局から指摘されたこともあったことが稼ぎの多さを物語ってもいる。

 モンゴルでの事業は軌道に乗っているといわれているが、やはり成功の要因は多分に「朝青龍という知名度が大きいよ」(タニマチ筋)ということのようだ。優勝25回で、これは歴代3位という大記録を達成した大横綱の人気は祖国では抜群だ。その知名度を活かして、よくよくは祖国の政治家を狙っているのではないかということはよく言われている。

 日本の相撲界の先輩で現在はモンゴルの国会議員・旭鷲山関に対して、激しく敵対意欲を燃やすようになったことがある。それは、旭鷲山関が政治家になる夢をよく記者たちに語り、それが発信され半ば既成事実化されて、超が付くほど負けず嫌いの朝青龍関が怒るようになったと言われている。

 今回の暴行騒動は、これ以上長引けば、大相撲以外の面で考えるならば、ビジネスはもちろん、その先にある政治家という目標に対しても響きかねない。この辺が潮時だと考えても不思議ではない。

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