今回は、ふらり伊豆です。
伺った蓬莱旅館は、ルレエシャトーにも掲載されている旅館です。熱海の駅から車で五分程度にもかかわらず、内装など辺りの旅館とは一線を画すと思います。趣があり、家族連れにはあまり向いていない、大人の隠れ家です。
さて、到着いたしますと、お茶と薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう:やまいもが皮に入っている優しいお味のお饅頭)をいただきまして疲れがすっと癒されました。お部屋も十分な広さがあり、縁側がついており、さながら小津安二郎の世界。
しばらくした後、お夕食でしたのでそちらを中心にご紹介いたします。
「自家製唐墨と大根、もろみ、いなり寿司、大豆煮浸し/白魚素揚げ」
八寸です。自家製の唐墨は塩気がきつくなくて美味しかったです。いなり寿司は、ちょうど初午(はつうま)の日でしたので供してくださったそうです。初午の日とは稲荷さんの誕生日です。初午の日に、油揚げにご飯をくるんだものをお供えと出しておりましたのがいなり寿司の始まりです。八寸のお隣が白魚の素揚げです。相模湾の朝取りでしたので滋味があって油も軽く、いくらでもいただけそうでした。
「蛤の吸い物」
お椀です。お出汁がとても上品で丁寧でした。
「さより、ひらめ、赤貝、するめいか 刺身」
こちらも相模湾からです。梅の形に繰り抜かれた大根が季節感を演出していますね。相模湾では鮪は水揚げされないそうです。
「金目の焼き物/蓬萊餅」
金目は油が適度にのっていて美味しかったです。蓬萊餅は旅館の名物で、毎日つきたてのお餅にきくらげと銀杏、鶏肉、卵をすりあわせたものを挟むそうです。そちらを揚げて、みぞれ(大根)餡をかけたものがこちらです。お餅はさくっとしていて中はフワッとしています。おかわりをお願いしたいくらいでした、笑。
「飛竜頭、ふき、大根の煮物」
飛竜頭(ひろうす)はがんもどきのことです。扇形の大根が新春の気配を漂わせていますね。お味もお吸い物に引き続き、上品で余韻が長いものでした。
「海老芋、蕗薹 揚物」
海老芋は本来とても大きいのですが皮をとても熱く向かなければ行けないので食する頃には小さくなります。蕗薹(ふきのとう)は山菜の王様ですね。揚げたてでとても美味しゅうございました♪
この後、お食事(ご飯、赤出汁、おこうこう)と水菓子の苺が続きました。
素朴で深い味わいの蓬莱旅館、またすぐに帰りたくなりますわね、笑。
次回は、洋館のお食事を紹介いたします。