米オバマ大統領が先日示した予算教書によると、世帯収入25万ドル以上の家庭の最高税率が現行の35%から元の39.6%に戻されるのだという。前政権時代に引き下げられた最高税率。しかし現政権では、ターゲットを富裕層に定めて税制を改正しようとしている。現行の税制のメリットを今一度おさらいしてみたい。
個人所得税率を最高35%、株式配当税15%、キャピタルゲイン税15%。2003年に議会に向けて減税案を出したのがブッシュ前大統領。決して、悪い意味での“金持ち優遇政策”ではなく、企業の投資意欲を高めて、新しい産業を育成しようというものだった。
米内国歳入庁の資料によると、納税申告額で100万ドル以上が2003年は約18万人
だったのが、2006年には約35万人とほぼ倍増している。また、納税額でも1320億ドルから2730億ドルに倍増となった。
特に500万ドル以上の申告者にいたっては、1万7000人あまりだったのが、2006年には4万人あまりと2倍以上となった。
これは節税や、脱税などが減少して素直に税務申告する人が増えたと見るべきだろう。米国では、過去にもレーガン政権、ケネディ政権も減税によって税収のアップに成功している。皮肉なことに、強い経済大国を実現したレーガン政権で副大統領だったブッシュ氏の父は、大統領に就任してからなぜか増税政策に走り、選挙で敗れている。
富裕層への減税が、結果としていかに国を潤すか。歴史を見れば明らかだが、米大統領と言えど時々、かじ取りを間違えるようだ。
それでは一方の日本はどうなのか。マニフェスト実現のために財源確保。すなわち増税が一般的だろう。母親から9億円を贈与されていた大富豪首相のかじ取りを見守るしかない。