国母選手問題は、政治問題なのだ!

 今回のバンクーバーオリンピック、スノーボードハーフパイプの国母和宏選手が、成田空港でオリンピック公式ブレザーを着崩して報道陣や見送りの方々に対応し、問題となりました。

 国母選手は、結局8位という成績で競技を終了し、記載している時点ではその後も対応が悪いとか、爽やかに感謝したとか、親御さんが色々と発言なさった等の報道がなされています。

 そもそもは国母選手が、公式ブレザーを着崩して「腰パン」姿になったことも顰蹙を買ったのかもしれませんが、私個人もその後の記者会見で舌打ちしたり、「頑張りま~~す」等の態度を取ったという報道を見て、大変白けてしまいました。

 それを受けて、国母選手に対し、その態度が失礼であるとか、彼の気持ちもわかって欲しいとか、そんなにつっぱりたいならオリンピックもやめてしまえばいい、等々の様々な反応が報道されました。

 私は、それらの反応は間違いではありませんが、いずれも論点がすっかりずれてしまっているように感じられてなりません。というのは、これは彼の態度や見識の問題とか、社会道徳の問題というよりも、極めて政治的な問題だからです。

 実は、私の勤務する学校の卒業生でも今回のオリンピックに出場している選手がおられます。彼女はオリンピックが決まって母校にご挨拶に来てくれたので、その際に話したのですが、冬期競技は今「お金が足りなくて困っている」というのです。

 ご存知の方もおられるかもしれませんが、昨年11月に開催された来年度予算に向けての「事業仕分け」においてスポーツ振興関係の予算は悉く「削減」ということが決まりました。

☆一例として(http://www.asahi.com/politics/update/1112/TKY200911120474.html)

 とりわけ話題となったのは、JOC(日本オリンピック協会)による予算の内、3団体への32億円が削減対象とされ、そこに入っていた約27億円の「選手強化費」も削減の対象として確定してしまったことです。

 JOC側は、「選手強化費については、ドイツの180億円英国の140億円と比較しても、日本の27億円は低すぎる」と抵抗したのですが、縮減が決まりました。トリノオリンピックでも結果が出なかった冬期競技には風当たりも強く、仕分け人からは「五輪は参加することに意義があるのではないか」「ボブスレーなどマイナーな冬季競技を支援する必要があるのか」という意見まで出たそうです。(http://sankei.jp.msn.com/sports/other/091201/oth0912011938010-n2.htm)

 その結果に抗議する意図で12月1日にオリンピックのメダリスト等が会見を行い、北京オリンピック、フェンシング銀メダリストの太田選手が「税金で競技をさせてもらっていることを自覚する必要がある」とも発言しています。

 今回のバンクーバーオリンピックは、そのような風潮の中で行われているものであり、JOCの方々や多くの選手達は、今回の活躍で国民の皆さんや政府に懸命のアピールをして理解してもらおうと考えておられることだと思います。

 そんな流れの中で、自費ではなく与えられた公式ブレザーを意図的に着崩して、会見でも舌打ちをしたり不機嫌で不誠実な対応をしている国母選手の行動を位置づけるべきなのです。

 一部報道では、国母選手の素顔は素晴らしい方であるとのものもあります。おそらく悪気があるのではなく、軽い気持ちで大きな問題になって、不貞腐れているだけなのでしょう。

 しかし、国母選手に悪気があろうとなかろうと、この大きな流れを無視した対応をしていることについては、態度が悪いとか見識が無い以前の「仲間が気にしていることを全く汲む気持ちが無い」姿勢であると理解せざるを得ないのが正直なところでしょう。

 世界大会で8位という素晴らしい成果も、彼の日頃の練習や鍛錬の努力も、周囲の支えてくださる方々によるものであることくらいは彼も理解出来ることでしょう。しかも会見したお父様は自衛官(公務員)です。

 このような傾向は日本人全般に言えることなのかもしれませんし、私の生業である学校も補助金をいただく立場です。ではありますが、国母選手がこれからも選手として活躍したり、引退後も様々な生活を送ることを考えた時には、このような理解レベルからは早く「卒業」していただけることを、切に祈っています。

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