22年ぶりにアメリカ男子フィギュアに金メダルをもたらした、エヴァン・ライサチェク選手。188cmの長身と長い手足を生かしたダイナミックな演技を引き立てていたのが、シンプルなオールブラックの衣装だ。実はこの衣装には大きな秘密があった。
胸元にはスワロフスキーが煌めき、革が施されたディテールもよくよく見ると非常に凝っており洗練されたものだとわかる。フィギュア特有の派手派手しい衣装が多い中で異彩を放っていたが、この衣装を担当したのはヴェラ・ウォンさんというウェディングドレスで世界的に有名なデザイナーだ。
ヴェラ･ウォンさんは米ＮＹ育ちの中国系アメリカ人。現在60歳の彼女は、若い頃全米選手権にも出場した元フィギュアスケート選手で、これまでもミシェル・クワン、ナンシー・ケリガンら女性選手の衣装も担当した。
今回ライサチェク選手のために、予備も含めて5着の衣装を特別にデザインし提供したといい、ライサチェク選手からの信頼も厚いのだとか。過去の選手経験があるからこそ、フィギュア特有の運動性や機能性を十分に考慮した美しいデザインができるのだろう。
このヴェラ･ウォンというブランド名。男性にはあまりなじみがないかもしれないが、セレブリティの間でも「ウェディングドレスといえば彼女」と称されるほど絶大な人気を誇るファッションデザイナー。
挙式で彼女のドレスを着た有名人は、ヴィクトリア・ベッカム、ジェニファー・ロペス、マライア・キャリー、ユマ・サーマン、シャロン･ストーンなど挙げればきりがなく、未婚女性にとっては憧れのブランド。極上の素材を使用したシンプルな美しいラインが特徴で、日本でも人気がある。
ライサチェク選手は金メダルを獲得したが、会場で応援していたヴェラ・ウォンさんは「演技中に破れたらどうしよう、とかハラハラしっぱなし。オスカーでセレブに着てもらうよりずっと緊張するわ」と語っていたという。
