世界的な金融危機の一方、増え続ける中国の富裕層。その数は、ドイツやイギリスを抜き、世界第3位に躍り出た。長年中国富豪ランキングを発表している、中国在住の英国人ジャーナリスト、ルパート・フーゲワーフ氏は「中国では、個人資産が10億元(約130億円)の人数は大幅に増えている。2004年当初、我々が見つけた10億元の資産を有する人はたったの100人だったが、今ではすぐに1000人見つけられる」とその数の急増ぶりを示す。
また、他国に比べて富を築く時間も短い。同氏によると、普通1億元の富を築くのに平均約15年、それを10億元にするにはさらに10年必要といわれる。しかし、中国ではたったの3年しかかからない。
中国の富裕層のおよそ6割は、北京、広東、上海、浙江、江蘇など、主に東の沿岸地域に集中している。このうち、もっとも多いのは北京で、1000万人のうち、54人が億万長者という割合だ。中国富豪ランキングに上がった1000人のうち、財産を受け継いだいわゆる2代目は、1%に満たず、近年富の力を身に付けた人たちだ。ちなみに、イギリスでは25%、アメリカでは35%の人が2代目だ。
それでは、こうした中国の富裕層はいかにして財産を築いたのだろうか?
毎年、長者番付を発表している「フォーブス」の編集長、範魯賢(はんろけん)氏によると、中国とアメリカの富裕層上位400人を比べた時、もっとも大きな違いは、アメリカは不動産関係者が40位より前で消えてしまい、一方中国は、154人もの不動産関係者がいるということだ。「この現象はとても興味深い」と範氏は語る。
急速な富裕層の増加は、中国の持続的な経済発展の中、企業家が自信で努力した結果だ。しかし、一方で違った面も垣間見える。北京にある融資会社の副社長によると、北京で巨大な富を手にしている人のうち、3つの種類の人が多く存在するという。