愛子さま等の学習院問題に教育意識の変化を見る

 敬宮愛子さまが現在通われている学習院初等科で乱暴な男子生徒の行動に不安を感じて登校が出来なくなり問題となっています。報道では宮内庁の東宮大夫の発言と学習院側の会見の話が食い違ったり、学習院というブランド学校さんのイメージが落ちるという話題になっていますが、これを教育論的に考えてみたいと思います。

 ご存知のように学習院という学校は公家の子弟の教育を目的として江戸末期の1847年に京都で設立されました。東京に移転後も官立・私立と形を変えながら皇族や近い立場の方々の子弟子女を教育する学校として評価が定着しています。

  ところが最近は、皇族方の「学習院離れ」が囁かれています。(
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20100107-OYT8T00195.htm)高円宮家のご長女の承子さまが早稲田大学に進学されたのを皮切りに、高円宮家の三女の絢子さまが城西国際大学へ秋篠宮家のご長女の真子さまが国際基督教大学へ進学され、ご長男の悠仁さまもお茶の水大学附属幼稚園に進まれることになりました。

 その背景や理由を、報道では「文・理・法・経済」の4学部しかない学習院大学では皇室の方々の進学ニーズに応えられないというものや、学習院幼稚園が2年保育なので3年保育の園へ進まれることを希望した等と言われています。

 確かにその面はあるでしょう。しかし学習院側とて皇族方のご要望に全て添う学部を揃える訳にも行きませんから、これは自然の流れに任せるしかなく深めても効果が出にくいものであるとも思います。

 他方、教育論的には、学習院の伝統的教育に関わる姿勢の問題があります。乃木希典院長が幼少期の昭和天皇陛下を特別扱いをせずに教育して以来、皇族方とは雖も特別扱いをしない」という伝統があります。率直に言ってそれは素晴らしいことだと思います。皇族に生まれた方々は将来自ずと社会的な活動をなさる訳ですから、単なる温室育ちの世間知らずということではお仕事にならなくなるからです。

このように学習院という学校の伝統は素晴らしい反面、硬直的な面も出て来ているのかもしれません。

 私は学校法人の理事長を生業としています。大学の学長も兼務しながら小学校以外の全ての学校が存在する法人のまとめ役を日々行っているのです。その立場から見ると、近年子供達が社会の要請の中で価値観を変容させつつあることも感じています。

 具体的には、どの科目も得意とするよりも、得意教科を伸ばしたい形になりつつあると思うのです。当然、一見バラバラに見える各教科はそれぞれ有機的に繋がっていますので、全教科出来ることが理想なのですが、これはアメリカ等の社会の雰囲気が影響を及ぼしていると感じています。

 得意分野を伸ばして、そこから派生的に知識を増やす方法は大陸系の価値観で、永らく島国である日本は教養的総合理解という平均的努力を重んじて来過ぎたのかもしれません。学習院も含めて全ての日本の学校がそれを考える時期であるのでしょう。

 私はどちらが良いと言っているのではなく、喩え皇室の方々であっても、その社会的風潮の中で進路を考えたり、将来の方向性を思い定めているように感じられてならないのです。学習院の伝統ある教育がしっかりしていればしている程、このような日本型教育の変容という社会背景が原因として考えられ得るのです。

 実は、私の2人の子供は学習院に通っています。私の両親も学習院で学びました。親戚に至っては無数に出身者がおります。偶々私は違いますが、学習院の教育の素晴らしさは理解しておりますし、特に初等科は先生方が細かいところまで目配りしてくださり、同業者として大変勉強になっています。

 そんな学習院という名門であっても、時代の流れに沿わなければならないのが教育という仕事の宿命です。全てを沿わせることは不可能としても、このような状況を踏まえて伝統を大切にしながら更なる新しい形を、学習院が作り上げてくださることを心から願っています。

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