蓬莱2日目は別館 Villa Del Sol に伺いました。別館建物はもともと麻布飯倉町にあった徳川家が創立した日本初の西洋式図書館“南紀文庫”を移築したものです。小さな玄関からは考えられないほど広々とした館内。サンテラスもあり、古き良きを忍ばせるといったところ。
1階がフロントおよびリビングルーム。2階がダイニング及宿泊施設になっています。入ってまず驚いたのが調度品です。1900年代初めと思われるアンティーク家具がずらり配されていました。どの家具もしっとりとした深みを帯びており、たたずまいは現在販売されている家具にはない優美さで明治貴族の別荘そのもの。それだけで参ってしまいました。
そして2階へ行くと、天井にきちんと彫り物がしてあるダイニングルーム。もちろん家具は引き続きアンティークです。バルーンバックの猫足チェアがテーブルに並んでいて目眩を感じました。
テーブルについてふと窓の外に目をやると、相模湾の絶景が広がる特等席。渡辺淳一文学の優雅なマダム気分です。
一通り感動したところでお料理を。今回はお魚がメインでした。このときはシャンパーニュいただいてしまいましたので少し曖昧な部分がありますが…。
するめいかのカルパッチョ
こちらは、野菜は裏の菜園でとれたもの、イカは駿河湾からで、どちらも当然のごとくとても新鮮で美味しかった。
赤座海老の湯引き
半生の赤座海老をバジルのソースでいただきました。身がコリっとしていて美味しかった。
百合根のスープ
体に優しい薄味のスープでした。前菜とシャンパーニュで冷えた体が温まりました。
ヒラメのソテ
地味がしっかりしていました。添えてある菜の花もとても濃い土の味がしました。
ヌガーグラッセ
温かいソテの後に冷たいグラス。余分な混ぜ物のない素朴で懐かしい味わいでした。
デセールとお紅茶いただくころには酔いも冷めてすっかり太陽が西に傾いていました。全てお魚料理だったので、胃の凭れもなく、量も程よく、とても満足しました。
また、食事中に女将の古谷青遊さんがいらして、アンティークのお話や南紀文庫の移築のきっかけなどお話していただき、とても楽しい午餐でした。
東京から新幹線でたった50分熱海駅から車で数分、日常を忘れさせる夢のような空間とお料理でした。