フィリピンでEat, Sleep, Sruf !【3】

 私たちは、ガイドのレモンや仲良くなったローカル達とNew Year’s Eve Partyを催した。

 メインディッシュは、現地で最高のご馳走とされる豚の丸焼き(レチョン・バブイ)だ。飴色に焼けた皮は香ばしくクリスピー。一方、中の肉はふわりと軟らかく、咬むと肉汁があふれるほどジューシーなのだ。内臓を抜いて香草を詰めて焼くそうだが、食べてみると癖のない塩味である。

 皮も身も柔らかく、骨も簡単に外れるので、手でむしって食べる。あまりの美味さに、みな無言の取り合いだ。ついさっきまで子豚の形をしていたのに、あっと言う間に無くなってしまう。ブタさんご免ね、でも美味しかったよ、本当にありがとう!


フィリピンに行ったら一度は食べていただきたい!

 飲み物と言えば、水より先にサンミゲル・ビールだ。しかし、何日かするとちょっと飽きてくるのも事実。そんなときはこれ、レッド・ホース。

 褐色をしており、味も濃い。苦みと甘みが豊かで、バランスが良い。飲み口が柔らかいので、ゴクゴクいけてしまうが、アルコール度数は6.9%と高いので注意が必要だ。


黒ビールほどクセがないので女性にも人気

 フィリピンでは大晦日に花火を上げるので、街では大量の花火が売られる。まるで火薬庫のように、大型の花火が所狭しと並べられている。たとえばロケット花火は、火薬を包む先端部分が矢尻のようになっており、その大きさは大人の拳大もある。花形の打ち上げ花火に至っては、花火師よろしく導火線が付いたソフトボール大の球を筒にセットして使う。現地ではこれらを除夜の鐘のごとく、家々、街々で盛大に打ち上げるのである。

 その迫力に少々圧倒されはしたが、我ら日本人も花火好きである。ある者は夢中になって導火線に火をつけ、またある者はそれを見ながら飲み語らう。いつのまにか集まってきた地元ローカルのBad Boysともすぐに打ち解けて、夜は更けていったのであった。


国境を越えて悪ガキどもは盛り上がった

 さて、最終日のこと。波のサイズは上がり、絶好のサーフィン日和となった。ホテル前のホーム・ポイントでしかサーフィンできていなかったので、この日はピクニックがてら遠征に。チャーター・バスで30分ほどの、セメント・ファクトリーというポイントへ向かった。

 その名のとおりセメント工場の脇にあり、地元の子供達が水遊びをしている以外は、全く無人の海岸だ。誰にも邪魔されずに仲間だけで波乗りするのは、サーファーの夢だ。もちろんみな狂喜してパドルアウトしてゆく。それからの2時間、私達は至福の時を過ごしたのであった。


丘の上からサーファーの楽園を見下ろす

 腹を空かせて海から上がると、現地の友人がランチを用意してくれていた。これまたご馳走の、鶏の丸焼き(レチョン・マノック)だ。空のランチパックに各自が好きなだけ肉とライスを取って、手で豪快に食べるだけ。

 本当に美味しいものは、シンプルに味わうのが一番だ。タマネギ、トマト、香辛料を詰めて、じっくり焼いた鶏は、柔らかく旨みたっぷりだ。誰もいない海岸にパラソルを立てて、さっきまで戯れていた波を見ながら食べるランチは、どんな美食にも劣らない素晴らしい体験であった。


大盛りにしてもすぐ無くなってしまうほど美味

 楽しかった旅も終わりの時がきた。ガイドやドライバー、ローカル達と別れを惜しみつつ、私達はチャーター・バスに乗り、空港へ向かった。幸い、誰一人として怪我もなく、旅を楽しみ尽くした充実感と感謝の気持ちに包まれながら帰路についた。

 早朝のニノイ・アキノ国際空港は、来たときと同じ心地よいカオスで私達を見送ってくれ、トリップは幕を閉じた。どこからか、裡なる少年の声が聞こえたような気がした。「さて、次はどこに行く?」


最高の仲間たちとガイドのレモン、そして抜けるような空の下で割れ続ける波

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