富裕層は長生きできない!?

 渋谷区の芸能人もよくお忍びで来るスポーツクラブで汗をかき、クラブのラウンジでブランデーのオンザロックにミックスナッツで一息ついていた。この後どこのレストランで食事をしようかな? どこでゆっくり葉巻を吸おうかな? とあれこれ考えていたところだ。

 そもそもスポーツクラブに通い出したきっかけは体重を減らす為だった。そのころの体重は80キロ近く、身長160センチの私はどこから見ても太りすぎだったし、プールで水着になると女性の視線を気にして、お腹を引っ込めて歩いていた。

 当たり前だった。毎日遅くまで仕事をし、食事は全て外食。それもこってりな味付けが大好き! 朝はエスプレッソコーヒーと甘ーいデニッシュ、昼はすき焼きに卵2つ、夜は寿司……それもこってりネタ……ウニ、たれのアナゴ、大トロ……なんて具合だ。おまけにいつも帰りのタクシーに迂回してもらい、そのころお気に入りだった六本木の老舗のケーキ屋さんの濃厚なプリンをお持ち帰りに。もちろん家についてからは、またまたブランデーストレートに葉巻、そして寝る直前にこのリッチなプリンだ。体重を気にしながらも、あぁグルメな美食の日々よ!!

 そして運命の日が訪れる。いつもの様にスポーツクラブの後マッサージを受けようとしたが、クラブ内のマッサージが混み合っていて、駅前で看板を見かけたアロマテラピーでトリートメントを受けることにした。セラピストを選ぶのはかなり難しい。技術力が高いことはもちろんだが、おしゃべりな人で逆にその相槌で気をつかって疲れたり、「ご職業は何ですか?」が始まるとなんだかこれも大変だ。「ここがかなりこっていてひどいですネ」とも言われたくない。適当にやさしく、適当にほっておいてくれる。これができるようで、出来ないんだな……まあこの日はお試しと言うことで、ダメもとでこの新しい店に行ってみた。

 セラピストはもう記憶にないが、なんだか話が弾んだ。体重を落としたい、健康もそろそろ心配だと話すと、近くに自然食料品を扱う店があるとオススメされた。オーガニックフード、マクロビ、ヨガなど、今ではかなりポピュラーだが、当時の僕には宇宙語にしか聞こえない単語を連発された。

 とにかくアロマを終え、ブラブラと教えられたレトロな商店街を歩いて行くと、全体がベージュにグリーンのアクセントカラーの地味な佇まいの店があった。ウッディなインテリアの店内を覗いてみると、見慣れない食品がズラッと狭い店内に並んでいる。無農薬野菜? 乳製品の入ってないケーキ? 天然酵母の全粒パン? 初めて海外に出かけた時の、戸惑いにも似た気持ちにひたっていると……ひっそりと小さな本棚が視界に入ってきた。


 インテリアを生業にしている僕の目に、「ライフスタイル革命」(現在は「フィットフォーライフ」として継続販売)の文字が鮮やかに飛び込んできた。表紙は深海を思わせる濃紺で、地球らしき球体のイラストが描かれている。よく見るとスイカみたいだ。最近1969年問題をテーマにしたドラマがテレビで放映されている。僕より少し上の世代には身近だった革命の2文字。

 この本がまさにこの後の僕の人生全てに影響を与える衝撃的な革命本になるとは、その時は想像もつかなかった。パラパラめくると、内容はよくわからないが直観的に面白そうだと思ったし、ライフスタイルはインテリアデザインに関係するし、とりあえず買っておこうか……。

 120歳まで生きる秘密については、また次回から徐々にお話していくことにして……お後がよろしいようで……今日はここまでに。

ミニコラム【プロフェッサーの呟き】

銀シャリっていいますよね……ホカホカの白いご飯。うーーーんでもそういえば戦時中、大切にされていた軍人さんが白いご飯だけ食べていて、脚気(かっけ)になった小噺を戦争体験のあった親父から聞いたな……玄米にしたら回復したとか……。

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