タイによく行く人でもまだ飲んだことがないと言われることが多いタイ産のワイン。実はニューワールドワインに続く新緯度帯ワインとして、注目を集めつつあります。サイアムワイナリー社の本格的なホアヒン・ヒルズのワイナリーを訪問して、その意外なおいしさの秘密に迫ります。
ホアヒン
バンコクから南へ200kmのホアヒン。王室の保養地として夏の宮殿が建てられ、落ち着いた雰囲気のあるリゾートとして評価の高いところです。歴史を感じさせるコロニアル・スタイルで有名なソフィテル・センタラ・グランド・リゾート&ビラズをはじめ、贅沢なホテルも数多く、バンコクから陸路で3時間程度、リゾートとして穴場だと思います。
一面緑のホアヒンヒルズ・ワイナリー
ワイナリー・ビジターセンターの入り口
さて、そんなホアヒンの海岸線から30km内陸に入ると、そこには緑のブドウ園が広がるホアヒンヒルズ・ビンヤードがあります。このワイナリーには一面の畑を見渡せる洒落たワインバーやビストロ、ワイン作りを紹介するビジターセンターがあり、 190ヘクタールを超える敷地の中をゆっくりと象に乗って回ることもできます。
象でワイナリー内を巡る
ビストロのおすすめは、ティスティング・セット。400バーツ(約1100円)で白・ロゼ・ホワイトシラー・レッドのワインとそれぞれに合うタパスをセットにして楽しめます。ハーブが効いた魚のミートボールは白に、ポークカレーは赤にとマッチングもいいのですが、カレー仕立ての味でもち米を丸くまとめたり、パッタイをエビせんべいにのせたりと味も盛り付けも秀逸です。
ワインとタパスのマッチング
ナーガ(大蛇)がデザインされたスタイリッシュなボトルのワインも各種そろっていて、ここで買うこともできます。私の一番のお気に入りはモンスーンバレー・コロンバールのプレミアワイン。果実と花のフルーティな香りにりんごのような甘くて爽やかな酸味。揚げ物にスイートチリソースをかけたものやカニやエビのお料理との相性は抜群。さすがパーカーポイント87点を取っただけのことはある味です。
セラー内でワインを試飲
こんな暑くて高湿な国で、どうしてこんな品質の安定したワインが作れるのか?それはブドウを収穫したらすぐ工場に運びこみ、現代的設備での徹底した温度管理で醸造することだそう。オーク樽が並ぶ工場は赤なら20℃、白は13℃に保たれ、それぞれ寝かせた後はティスティングをしながらタイ国内はもとより欧州や日本など、テイストが向いている市場に出していきます。ワインメーカーのセンシティブなブレンドでこの味が出来ているようです。自然あふれる緑のブドウ園と超現代的な工場、新しいワイン作りの最前線をみることができました。このモンスーンバレーのワインは、日本には池光エンタープライズが輸入していて、サイト(http://www.ikemitsu.com/)から購入もできます。コロンバール・プレミアムでも2500円とお手頃。白はきりっと冷やすのがおいしくいただくコツです。
エアコンで温度が保たれたセラー