古代エジプトからロスチャイルド家まで、“王家の血筋”の法則とは?【2】

王族・貴族が近親婚を選ぶ理由


ハプスブルク家最初の神聖 ローマ皇帝、ルドルフ1世
【1】神格化した王の権威を守るため
 古代エジプトのように、王は神の子孫であると考える王朝の場合です。神格化された存在であるファラオが一般庶民と血を交えることはあり得ないことであり、その権威を守るために、結婚相手は自国の王族か他国の王族に限られました。また古代エジプト王家では実の娘や姉妹と結婚することは普通のことだったため、文化的抵抗感がなかったということもあります。

【2】財産の拡散を防ぐため
 上流階級においては、これが近親婚を選ぶ最大の理由です。爵位や土地などの財産は結婚によって相続されていくため、一族の外に財産を流失させないために、いとこ同士などの近親婚が好まれました。ハプスブルク家など多くのヨーロッパ貴族や王族はもちろん、20世紀前までの金融財閥ロスチャイルド家など、近現代においてもこの理由で同族間から結婚相手を選ぶ名門一族は多いです。

【3】一族の血の純潔を守るため
 名家において財産の拡散を防ぐという理由と同じくらい重視されるのが、「一族の純潔を守る」という理由です。上流階級の人々は基本的に同じ階級の人しか結婚対象としませんが、上流階級の人数自体が少ない訳ですから、当然対象者は限られてきてしまいます。一族の結束を強めることは、一族の財産を守り維持していくことにも直結するため、財産の流出を防ぐという意味でも、この動機は重要だと言えます。

 現代では近親婚は禁じられている国が多いですが、一部の国では現在でも上記の理由から近親婚を選ぶ一族も存在します。また近親婚ではなくても、日本でも元華族の家系、旧財閥の家系など、いわゆる名家では、現代でも同ランクの人と婚姻関係にある例が多いことは事実です。

 上流階級・富裕層にとって、同ランクの人と結婚することは、互いの一族の地位と財産を守り、受け継いでいくための重要な手段。それは古代エジプト時代や中世ヨーロッパから変わらない、上流階級の権力維持のための知恵であり、血の繋がりこそが、彼らの富の基盤となってきたのです。


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