富士通の野副元社長が謎の申請取り下げ

 役員の地位保全を求める仮処分の申し立てを行っていた、富士通元社長の野副州旦氏が9日までに、申請を取り下げていたことがわかった。

 富士通の発表によると、野副氏は3月、辞任は詐欺・強迫または錯誤にもとづくものであるとして、取締役復帰を求めて地位保全を求める仮処分を横浜地方裁判所川崎支部に申し立てた。しかし、4月8日になり、申立の取下書が裁判所から富士通あてに送達されたという。

 同社は「当社は、野副氏が辞任に至った経緯に関する証拠を提出し、同氏の辞任が法的になんら問題のないものであることを主張してまいりました」としている。

 野添副氏は辞任によって、子会社ニフティの売却計画がとん挫して富士通に損害を与えたとして、同社役員2人を対象に株主代表訴訟などで争うと表明していた。訴えの目的としては、名誉を回復したいというのが理由だった。

 この件は、4月6日に結審し、近々裁判所から決定がなされることになっていた。しかし、野副氏が下りたことで、二転三転して物事は闇の中に入った。富士通側は近くこれまでの経緯を含めて説明を行う方針だという。

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