バチカン、44年目でついにビートルズを許す

 ビートルズと44年間にわたる確執があるバチカン市国のローマ法王庁が、公式新聞「オッセルヴァトーレ・ロマーノ」にビートルズを称賛する記事を初めて掲載した。ビートルズ解散40周年に合わせての掲載ということだが、突如称賛記事を載せた理由について憶測が広まっている。

 ビートルズとバチカンの確執は、1966年にジョン・レノンさんが「ビートルズはキリストより人気がある」と発言したことに端を発している。新聞社の取材に対し、レノンさんは「キリスト教はいつか縮小して、消えてなくなってしまうよ。僕たちは今、キリストより人気がある」と語り、ローマ法王庁と世界のクリスチャンがこれに激怒したのだ。

 海外メディアによると、ローマ法王庁は今回の記事で「彼らはドラッグを飲み、音楽での成功にいい気になって堕落した生活を送っていたことは間違いない」としつつも、「しかし、彼らの歌を聞いていると、昔のすべてのことが遠く無意味に思えてくる」「ポップスの歴史を変え、今も私たちに感動を与え続ける彼らの美しいメロディーは、いつまでも高価な宝石のように生き続けるだろう」と称賛した。

 ローマ法王庁は2008年にも、同紙にレノンさんを許す内容のコメントを掲載している。それは「(当時のレノンの発言は)エルビス・プレスリーとロックンロールの時代に育ち、思いがけない成功を手に入れた若い英国の労働者階級ミュージシャンが、ただ目立とうとして発言しただけだ」というもの。しかし今回は許すだけではなく、ビートルズを称賛する内容で、意味が大きく異なっている。

 この記事について、元ビートルズのリンゴ・スターさんはCNNに対し、「バチカンがビートルズの音楽を称賛しようが否定しようが、気にしない」と語っている。また現在ローマ法王庁は世界のカトリック聖職者による子供への性的虐待疑惑で騒がれている真っ最中のため、このタイミングでの掲載は、疑惑から目を逸らそうとしているだけではとの見方もある。

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