官能と憂鬱のフランス【3】文化の聖域 St Germain des Pres

 モンサンミッシェルよりレンヌを経て、パリに戻ってきました。

 次のホテルは、Le Meurice(ル ムーリス)って、リッツから歩いて5分のホテルなんですけど……。ホテルにつくと、早速お散歩へ。目指すはパリに行くと必ず立ち寄るサンジェルマンデプレです。その前に、シテ島とサンルイ島もちょっと大回りですがブラブラ。以前シテ島にあった、鳥ショップはなくなっていました。オトメな感じの小鳥がオシャレな鳥かごの中でチュンチュン言っているのがとてもキュートだったのに残念です。

 この日はタクシーを使わず、20代の若者らしく、ヴェリブというレンタサイクルで町を回りました。これ、東京にもあればいいのにねえ。でも、パリは石畳なので自転車はお尻が痛い。

 サンジェルマンデプレは左岸6区の文化の聖域です。というのも、狂乱の1920年代(注:芸術が栄えて、パリ万博もあった時代。)には、サルトルやボーヴォワールやフランソワーズサガンなど蒼々たる人々がこの辺で議論を交わしていたそうです。その影響あってか、今も芸術系の書店があったり、ミニシアターがあります。



 今回驚いたのは、北野武がブームになっていたこと。ミニシアターでは「アキレスと亀」が上映されており、書店には、キタノの自伝が平積みされていた上、映画雑誌の表紙を飾っていました。なにげに世界のキタノだったのね。日本ではあまり格好つけずお道化をやり、フランスでは気取った文化人ポーズと使い分けているところにキタノっぽさを感じました。

 まあ、文化はこのくらいにして、今回は、サガン達がカフェフロールの閉店後に駆け込み明け方まで飲んでいたというLIPPです。



 LIPPは観光地化しているカフェ群のレドゥマゴやフロールの道路向かいにあるブラスリーです。歓楽街のような真っ赤なネオンが印象的なお店です。外観とは裏腹に内装はとてもシック。アールヌーボー風のシャンデリアと鏡貼りの店内はうっとりです。サンジェルマンデプレの中心にあるにもかかわらず、外国人はわたしだけ。恐る恐る注文をすると、陽気なギャルソンが鼻歌まじりにやってきて親切にしてくれたので、緊張のプルプルは収まりました。

 そして、注文したのは、パテドゥカンパーニュと、サラダニソワに、サーモンのクリームソースです。ものすごい量なのでこれでもうお腹一杯です。





 とにかくお給仕のギャルソンが最高にご機嫌で、うっかり写真を撮らないで料理を食べようとしたら、小声で「photo,photo!」って、身振り手振りで教えてくれました。

 フランスのギャルソン達は本当にテンションが高いです。マニュアル感もありません。いつだったか、日本の某居酒屋で飲み物のおかわりを頼んだときに、「よろこんで!」って、言われまして、それに対して、1・何をそんなに喜んでいるのか、2・本当にそんなに嬉しいのかと、困惑と滑稽さが半分ずつになり、“マニュアルって変なの”と思った事があります。それからこれもよくあるんですけど「ご注文の品はこちらですべておそろいでしょうか?」って慇懃に聞かれて、こちらは一つしか頼んでない、笑。

 こういう話は、“つぶやいた”方がいいのかもしれませんね。何はともあれ、そんなこんなで、楽しいサンジェルマンデプレでした♪

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